軍師、責める

「では話はそれで終わりですか?」
「えぇ、一応は聞くべき部分は聞けました。後は貴方の望むようにお話ししますよ・・・市長の前で私の気持ちをね」
「っ・・・!」
孔明はその姿に気をかけることなく話を進めヴァンももう平然と自分の気持ちを隠すことなく話すと言い、ティアはひきつったような表情で顔色を青ざめさせる。だが最早そんな姿に誰も気遣う様子など微塵も浮かべていなかった。自分から来たいと言って嫌な事については覚悟が全くなかったその様子は何度目にもなっていたために。









・・・そんな風にして少し時間を使いこそしたが、すぐにユリアシティへ向かうべく足を運ぶ孔明達。だがアラミス湧水洞に既に着いていた為に大して時間を使うこともなくユリアシティに繋がる譜陣まで辿り着いた。

そして一同はその譜陣に乗り、ユリアシティへと向かう。



「・・・ここがユリアシティか・・・なんか雰囲気が違うっつーか、ここにいるだけでもそう感じるな・・・」
「造りは創世歴時代の物で今も尚、人が住む場所として残っている施設ですからね。外殻大地上にある街や村とは一戦を画するのは当然です」
「ふ~ん・・・」
・・・それで譜陣から出てユリアシティの中の場に降り立った一同の中でルークが街の様子を見ながら呟くと、孔明かその理由についてを述べ納得させる。
「・・・さて、今の時間であれば特に市長も何もなくいることでしょう。最もユリアシティの方々は特に役割を背負っているわけではないので、何か特筆して忙しいということもないでしょうからこのまま市長の元に行きますよ」
「っ・・・」
それでルークから視線を外して全員に話しかける孔明にティアは何かを言いたげだったが、結局は黙るに留まる。察するに市長は役割を負っているだとか擁護をしたいのだろうが、ここに来た目的と経緯の事があるために市長の事を何も言えないといったように。



・・・それで市長の部屋に孔明達が続々と入っていくのだが、いきなりの多数の人々の来訪に訝しそうな視線を市長が向ける中・・・
「なっ!?ヴ、ヴァン!?一体どうしたと言うのだ!?」
最後に兵に捕縛されて連れられてきたヴァンの姿に、市長はたまらず驚きの声を上げる・・・ただその姿に囚われの姿であると言うのに、ヴァンの口元は僅かだが愉快そうにつり上がっていた。
「さて・・・まずは自己紹介させていただきます。こうして会うのは初めてになりますが、私はローレライ教団で丞相を勤めている孔明です」
「同じく導師のイオンです」
「じょ、丞相に導師が何故ここに・・・いや、それもそうですがどうしてヴァンが捕縛された状態で・・・!?」
そんな様子に敢えてまずはと自己紹介をする孔明とイオンに、市長は訳が分からないと混乱したよう説明を求めてくる。今のこの状態は一体なんなのかと。
「勿論我々が今どうしてこのような形でここにいるのかについての説明は致しますが、時間はよろしいですか?」
「え、えぇそれはまぁ・・・」
「ではお話ししましょう。こうなりました経緯についてを」
孔明はちゃんと説明すると時間についてを聞き、戸惑いながら頷く姿を見て話を始める。市長、いやユリアシティの住民にとっては様々な意味で悪夢になりかねない事実の数々を・・・









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