軍師、責める

「どうされましたか、謡将?どのようなご用でしょうか?」
「ユリアシティに私を連れていくようですが・・・私に何を期待しているのですか、丞相?」
早速と孔明が用向きについてを問うと、ヴァンが探るような視線を向けながら問い返して来る。
「貴方が起こしてきたことに関してを私が話してほしいといった時に話してくれればそれで十分ですよ」
「フッ・・・随分と簡素な説明ですね、丞相。私に協力を求めないのですか?是非貴方の力を貸してほしい、と」
「そう言って貴方がその通りにしますという方ならそう言いますが、そういった事をしない方であることは知っています。むしろ具体的な事を望めば望むほどに貴方はそれを裏切ろうとする方です・・・弱腰の相手にわざわざ協力をする義理はないと思うどころか、今の劣勢をどうにか覆す為に策を弄そうとする。そんな方だとね」
「・・・フッ、成程・・・よくわかっておられる、私の事を・・・」
「っ・・・」
孔明が簡潔に返事を返す様子にヴァンは疑問を呈するが更に返ってきた返答に、納得すると同時に答えが正しいといったよう漏らす姿にティアがハッとした後に我慢するように唇を噛む。孔明から色々と言われた手前、下手なことを言わないようにと。
「・・・まぁいいでしょう。話をするだけでいいのでしたらそうさせていただきます。どうせこの状況では迂闊な事も出来ぬでしょうから、せめてユリアシティの者どもに真実をぶちまけますよ。預言の中身とそれに従うことの愚かさを解らせる為にも」
「兄さん・・・っ!?」
「・・・私が祖父を始めとするユリアシティの住民を一切恨んでいないとでも思ったのか、ティアよ?」
「いえ、正確には貴方の口からそういった言葉が出てきた事が衝撃といっただけですよ。昨日にそういった事については話はしていたのですが、今の様子から実際に聞くまでは信じたくないといった様子だったようですからね」
「・・・成程、そういうことですか・・・」
だがそこで状況からとは言え協力に乗り気になるヴァンにティアが信じられないといったように声を上げ、怪訝そうな視線と問い掛けを向ける中で孔明の補足に何とも言いがたそうに目を閉じてうつむく。
「・・・丞相、今更ではありますがティアをユリアシティに連れていかずに待機させるという訳にはいきませんか?」
「兄さんっ!?」
「一応はティアに選択肢を提示し、行くと彼女は答えました。一応必要最低限の行動だけしか取らないようにとの制約をつけることを納得してもらいましたから、今更彼女を無理に止めるつもりはありません。それに今ここでティアに待機を命じてやっぱり来たいからと命令違反を犯してまでユリアシティに来られでもしたなら、私は彼女を罰さなくてはいけなくなります・・・そんな未来でもよろしいというのであれば、待機を命じますが?」
「・・・致し方ありませんな、そこまで言われれば・・・私としてはその場面をあまり見せたくないのですが・・・」
「・・・っ!」
そして顔を上げてティアを外すように出来ないかを願うヴァンに言われた当人は驚愕の声を上げるが、孔明が至って冷静に行動を起こした場合の処罰についてを口にすると残念そうになるが、ティアは更に戦慄する。昨日の話が大げさではなく本当のことだと、ヴァンが市長達に対して負の念を持っていることを滲ませる言葉を口にした為に。









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