軍師、責める

「さて、皆様・・・よくお休みになられましたか?」
まずは挨拶と言ったように話し掛ける孔明に、ティアを除く面々が表情の差はあれ頷く。
「では続けて・・・どうですか、ティア?結論は出ましたか?」
「・・・・・・私も、ユリアシティに一緒に向かいます・・・ここで私だけ待機だなんて、許されることではないと思いますから・・・」
「そうですか」
次に明らかに表情を暗くして目の下にクマを作っているティアに考えの程を問うと、苦しい決断をしたとばかりの様子を浮かべて付いていくと返す姿に分かっていたとすんなり孔明は頷く。
「貴女がそう言うのであれば構いませんと言いたいのですが、二つ約束をしてください・・・まずこれからユリアシティに着くまでの道中で謡将に対して不用意に話し掛けないこと。次に貴女にも市長に対して言いたいことは色々あるかもしれませんが、謡将の時のようにいきなり前に出てきて話をされれば市長もそうですが、謡将がどのような反応を起こすかの予測がつけにくくなります。ですので私が話してほしいと話題を振った時に内容に沿った話をするようにお願いします・・・よろしいですね?」
「っ・・・分かりました。丞相がそうおっしゃるなら・・・」
ただ無条件では連れていかないと自分から言葉を発さないように言う孔明に、ティアは一瞬反論しようとしたようにしながらもすぐに頷いて返す。不満があるのを何とか誤魔化すようにしながら。
「では話も済んだことですし、早速ユリアシティに向かいましょう。外に待たせてある謡将の姿のことがダアト内で話題になるのはまだ避けたい事でもありますから、迅速に動きたいのでね」
ティアのそんな姿に触れることなく孔明が早速の出発をしたいと理由もつけて口にすると、また反論など出てくる様子もなくルーク達は頷く。









・・・それでダアトの街を出た辺りで待機していた兵にヴァンと合流した孔明達。ティアは拘束の解けてないヴァンの様子に複雑そうな様子を浮かべてはいたが、一応は孔明の言葉もあって何とか何も言わずに済ませた。

それでダアトから離れ一同はユリアシティに繋がる場所であるアラミス湧水洞に向かうのだが、アリエッタがいる状況で魔物が襲ってくることもないしメンバーの大半が神託の盾ばかりの状態で野盗などの人が襲ってくることもない。故に戦闘もなく、穏やかでいて早くアラミス湧水洞に辿り着いた。



「・・・少々よろしいですか、丞相。謡将が話があるとの事ですが・・・」
「そうですか・・・では少し休憩も兼ねてここで止まりますから、こちらに連れてきてください。それと他の皆様は一先ず休憩をどうぞ」
・・・湧水洞の入口付近でくのいちと共に孔明達と少し離れた後方でヴァンの護送を担当していた兵が急いで駆け寄り、ヴァンから話があると報告すると孔明はすぐに頷き休憩するようにとルーク達に告げる。



・・・それですぐにヴァンは兵とくのいちにより孔明の前に連れてこられるのだが、他の面々は我関せずと言ったように休憩に入るのではなく孔明の近くで待機していた。やはりいきなりのヴァンからの申し出の中身とは何かといったような興味を各々が持つと言う形で。









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