軍師、焔達と会う

「・・・なぁ、一ついいか?コーメイ、だっけ?」
「はい、何でしょうかルーク殿?」
それで少しした時にルークが沈黙が場を支配していた中で頭をかきながら声を上げた事に、孔明は静かに責めるような威圧感を消し瞬時に平時の様子に戻して対応する。
「なんつーか、お前らダアトがティアと関係無いっつーのは今の会話で十分分かった・・・お前がティアを追求する姿はとても身内が可愛いからって庇おうとするようなもんじゃねぇってのはな。ただもしお前が言ったようにキムラスカにティアを引き渡したなら、ティアはどうなるんだ?」
「・・・十中八九、理由すら言わないというのであればティア=グランツは処刑されることは間違いないでしょう。いえ、それどころか謡将もまたティア=グランツに襲われた理由が何であるのかハッキリしないと言うのであれば、場合によっては謡将の引き渡しすら検討せねばならない事態にもなり得るでしょう」
「っ!?」
「ハァッ!?師匠までって、なんでこいつのせいで師匠がそんな酷い目にあうような事になんだよ!?」
そんなルークが気まずそうながらも口にしたティアの処遇についての疑問だが、少しの間を空け孔明が口にした返答の中身にティアはビクッとして孔明に丸くした目を向け、ルークは何故と声を荒らげる・・・ヴァンがそんなことされる筋合いなどない、そうティアまでもが言わんばかりに。
「今も言ったよう、ティア=グランツが謡将を襲った理由について話さないからになります・・・彼女はずっと自分の行動は個人的な事と主張していますが、それが本当にそうなのかと証明出来ない以上は謡将自身に何か相当大きな問題があったから彼女は何か行動を起こしたのではないか・・・と見るのが妥当です。妹が兄を襲うという骨肉の争いを演じるのを決断する程のね」
「師匠はそんなことしねぇ!わりぃのはこいつだけだろ!」
「なんですって・・・!?」
「無論、必ずしもそうなると限った訳ではありません。謡将に疑いはありますが、同時に彼は彼女に襲われたいわば被害者になります。故にティア=グランツが何をもって謡将を襲ったのか、その理由次第では謡将も容疑者から被害者という見られ方になりすぐに解放されることとなるでしょう・・・ただ何も言わなければ謡将への疑いは消えることなく、今言ったようにキムラスカに引き渡すことも視野に入れなければならなくなるでしょう」
「!?・・・そん、な・・・」
孔明は淡々と説明を続けていきその中でルークとティアが瞬時に怒り互いの顔を見合わせるが、続いた説明から理由を言わなかったらヴァンの立場がまずくなるだけと聞きティアは愕然と孔明の方に顔を向ける。
「・・・貴女のその顔からして、謡将がそのようなことになるとは思っていなかったようですが・・・その様子では貴女は謡将を襲いはしても殺すつもりはなかったか、もしくは謡将の腕を信じていたと言った所でしょうか。自分が兄を襲っても兄なら死ぬことはない、そう期待していたとでもいうように・・・だとしたら、一層愚かとしか言いようがありません。幼い下の弟妹が上の兄姉の力強さを信頼するからこそ全力でぶつかると言った幼い時分であってこそ許される行為で、そんな行為を貴女は時と場所も全く考慮せずに行ったのですからね。それも自分ばかりか、兄の評価を共に下げる形でです」
「っ!!・・・返す、言葉もありません・・・」
そんな姿に心底から呆れを伴わせ羽扇で口元を隠しながら思考の推測と行動の批判を述べ上げる孔明に、ティアは反論など出来ずにうなだれ肯定する以外に出来なかった。自らの愚かさをどうやっても否定しようがなかった為に。









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