軍師、責める

「成程・・・実際に聞くとまた手紙の中身とは違いますね・・・」
「取りあえずは話せる部分は話しましたが、まだ何か気になる所はありますか?」
「いえ、一先ずは大丈夫です」
トリトハイムが納得する様子に孔明がどうかと問うと、大丈夫と頷いて返す。
「それではこちらからお聞きしますが、現在ダアトの様子はどうなっていますか?」
「至って平穏な状態です。丞相の配慮に従い配置代えをしてから穏やかになりましたし、謡将の兵達も現在大人しくしておりますので特に問題もありません。後はユリアシティの者達とどう話をつけるかということくらいでしょう」
「えぇ。その為に私達はこのダアトに戻ってきたのですからね」
「っ・・・!」
それで次は孔明が問い掛けを向けるとトリトハイムは平穏であったことからユリアシティの事へ話題を移し、それこそが目的と笑顔を浮かべる孔明にティアがまたもやビクリと反応する。
「・・・少し質問なのですが、ユリアシティという場所に関しては今までに丞相よりお聞きしたので多少は知識はありますが・・・単純にユリアシティへ繋がる道を封鎖するというわけにはいかなかったのですか?ダアトに来る道中の道を横に逸れた所にあるアラミス湧水洞という場所に入口はあるとお聞きしたのですが・・・」
「何て事を言うんですか大佐!ユリアシティは魔界に呑まれずに残っている街ですけれど、住民の食料全てを賄えるほどの食料なんて作れないんですよ!」
「だから言っているのですよ。食料は誰であっても必要不可欠な代物であり、食料の差し止めを行い湧水洞を兵に見張らせ出られないようにすればそれでユリアシティの住民の介入を容易に防げるばかりか、言うことを聞かせることも可能だと思いましてね」
「た、大佐・・・!」
しかしそこで口を挟んできたのはジェイドなのだが、その中身にティアは怒声を上げた後にワナワナと震える・・・戦略的に見てジェイドの案はユリアシティの住民の動きを封じるのには確かに最適でこそはあるが、ユリアシティで生まれ育ってきたティアからすればあまりにも非道であり住民が苦しむような策など感情が決して認められる物ではなかった為に。
「確かに大佐の言われたような事をすれば、ユリアシティの住民を抑える事は可能ではありました。ですが後々の事を考えるとあまりそうするのは望ましくないと考えた上でそうしないように動きました」
「そうですか」
「待ってください、丞相!・・・大佐の言ったような事をしようかと、考えていたと言うのですか・・・!?」
孔明はその考えはあったといったように言うとジェイドの言葉の後に、ティアがまた信じられないといったような視線と声を向けてきた。ジェイドだけでなく孔明までもそんな酷いことを考えていたのかと。
「あくまでそうしようと考えていたといったくらいですが・・・貴女がそうも反応するのは他のどこでもなく、ユリアシティが対象だからでしょう。何故ユリアシティに対してそんな酷いことが出来るのかという気持ちがあるから・・・そうではありませんか?」
「そ、それは・・・その・・・」
「どう答えても貴女に罰を与えるつもりはないので正直に答えていただいて構わないのですが・・・まぁいいでしょう。その反応で大方分かりましたし私はそうすることを選ばなかった、もうそれでこの話は終わりです。いいですね?」
「・・・はい・・・」
孔明は考えていただけと返しつつユリアシティだからかと問うと案の定と言うべきか、ティアが途端に口ごもった為に逃げ場を用意するかのように妥協点を口にすると力なくも了承を返した。これ以上孔明に色々言われるのを避けたいといったように。









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