軍師、責める

「・・・ティア=グランツ。話に伝え聞く貴女の話も併せて察するに、どうにか大詠師に謡将達を助けるか罪状の軽減辺りを丞相の上の立場にいる我々が行うことを期待しているといった所でしょう。ですが二人が自由気ままに動けばどのような結果になっていたか、少なからずは聞いていたはず・・・それでも尚二人についてを聞くと言うことは、貴女は未遂に終わったことだからと情状酌量の余地でも願いたいと考えていたのですか?」
「そ、それは・・・・・・確かに、その通りです・・・モース様も兄さんも悪気があって行動を起こしてきたわけではないのだから、と・・・」
トリトハイムがそんな姿に内心を見透かすような言葉を向けると、ティアは全く間違っていないと力なく頷く。二人の事をどうにかしたいと考えていたと。
「・・・もし貴女が望むように二人の罪状を減らしたいというのであれば、後に控える裁きの際に二人がどのような申し開きをするかに心を入れ換えるかにあります。特に謡将に関しては大詠師までもを騙し、自分の目的を果たそうとしていた事を考えればそうそう容易に変心したからと言葉にされたたけで信じるわけにはいきませんが・・・謡将に限らず大詠師も含め、それがもう起こらないと証明出来るような条件だとかを貴女は思い付きますか?もうこれなら人の目がないような状況で野放しにしても、妙な行動を取らないと確定出来る条件を」
「それは・・・・・・」
続けてトリトハイムがいかにして二人が改心出来るか具体的な事を聞くのだが、ティアはうまい答えなど到底浮かぶはずもなく視線をさ迷わせる。
「・・・どちらにせよしばらくお二人とその息のかかった者達を自由にさせる訳にはいきませんし、今は丞相だろうと私だろうと特に大詠師は耳を貸すつもりはないでしょう。ですのでお二人に関して変心を期待するのであれば、しばらく時間を置いた方がよろしいかと思われますからこの件に関しましてはここで以上とさせていただきます。よろしいですね?」
「・・・はい、分かりました・・・」
そんな様子に厳しい言葉をかけることなく時間をかけねばまずどうしようもないと言うトリトハイムに、ティアも力なく頷く。ハッキリ二人を助けるという明言がなかったことに消沈する形で。
「・・・さて。ではこれまでの旅での経過についてお話しさせていただきます。道中でお送りした手紙だけでは全て説明出来ない部分も多々あるでしょうからね」
「すみません、その前に一つお聞きしたいのですが・・・いつそのような手紙をお出しになられたのですか?」
「妻に合間の時間を見つけて送ってもらいました。報告の手紙を出すのに大げさに言う必要もないと思いましたので、報告はしませんでしたが何かよろしくありませんでしたか?」
「いえ、少し気になっただけですので・・・どうぞ続きを」
「分かりました」
そこから孔明が改めてトリトハイムへと話そうとする中でフリングスが疑問点を上げてきたが、あっさり返された中身に異論はないとした上で話をするように言われて孔明は話を始める。今までの旅の事を、ティアからすれば様々隠された中身に変えた話を・・・そしてそういった中身であることをトリトハイムも承知の上だと本人も知ることなく・・・


















・・・それで、孔明からあらかたの今までの経緯についての話が終わる。









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