軍師、納める

「ん~・・・ルークの様子を見る限りはキムラスカに戻らないって選択肢は考えてはいるでしょうけど、旦那様はそっちに誘導するつもりでいます?」
「・・・誘導というほどは誘導しなくていいと私は思っています。ルークのあの様子ならこれからの旅でアッシュと離れる事の方がいいと感じたなら、自ずとそう考えるでしょう。この辺りは実年齢ではなく見た目の年齢相応の振る舞いを求められてきて、実年齢に見会わない聡さを身に付けていますからね。むしろその点では彼の方がアッシュより上と言ってもいいでしょう。冷静になれているという観点から見てもです」
「あ~、と言うよりはアッシュが冷静になる気がないだけなんですよね~。いくら謡将からルークが悪いって刷り込まれてきたからって、少しでもルークが悪くないなんて思うことは無かったんですし・・・」
くのいちはそんなアッシュの話題からルークをどうするのかと聞き、孔明が大丈夫というその中身から冷静という部分を抜き取りアッシュに対しての呆れを口にする。ルークに関して負の感情を抑えて冷静になろうともしないことに。
「その点で一度貴女がいない時にディストに聞いたことがあります。何故あそこまで偏執の念を会ってもないルークに向けられるかと。その時に素人考えではありますが、被験者とレプリカ・・・もっと言うなら完全同位体同士だからこそ何かしらの繋がりが出来、負の念を持ったのではないかという仮説を口にしました。ただこの仮説に関しては完全同位体として存在する個体がルーク達しかいないので、ハッキリとはこうだと理由付けも否定も出来ないそうです。研究しようにもその為に新たなレプリカを作るのは流石に今のディストからすれば躊躇われるとのことですからね」
「ん~、それは仕方無いっすね~。そんな理由でポンポン命を産み出す訳にもいきませんし、そもそも完全同位体を産み出す事が出来たのも偶然に近かったってディストも言ってましたし」
「えぇ、そんな成功確率が低い物の為に命を無造作に扱うなど許されることではありませんからね。そこについてはもう深く考えないようにと私もしてきましたし、ディストにもどうなのかとは考えなくてもいいとは伝えておきましたよ」
「そうだったんですか~」
その言葉に返す形で孔明はかつてディストと話した中身についてを話していき、その中身を素直にくのいちは受け止める。アッシュのルークに対する感情に関して知るよしはないということを。
「まぁそういったことを話し合った上である書物を読んだことにより、アッシュをどうにかしてルークを助ける為の策を考えることが出来たんですけれどね」
「あぁ、あの書物ですね」
「私達の世界でも時代が進めば似たような研究がされていたでしょうが、あの書物の中身は成程と言えるものでしたからね。ですからこそあの書物の理論を用いればアッシュをどうにか出来るでしょう」
その上でそれが二人の状態の解決の為のヒントになったと語る孔明はくのいちに微笑を浮かべる、二人の事については問題ないと自信を覗かせる形で。










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