「そこまでにしておいてあげてください、アニス。流石に心情的にまだ大丈夫だと言えるほど割り切れてないようですからね、ルークも」
「はい、お義父さん・・・」
そんな光景に孔明がここまでと口を挟んだことに、アニスは心残りがありそうながらも頷く。
「取りあえずはルーク・・・私に身柄を預けていただけるというのであれば私が貴方の安全の為に動きましょう。とは言えしばらく落ち着いて考えることが大事でしょうし、貴方が決断をしなければならない時間はまだしばらくは先になるでしょうからそれまではゆっくりどうしたいか考えておいてください。貴方の希望には出来る限り沿えるようには配慮しましょう」
「・・・そう言ってくれんのはありがたいけどよ。お前は謁見の間での話の感じからするとアッシュにはキムラスカに戻って欲しいんじゃねぇのか？色々な意味でよ・・・それでもし俺がアッシュにキムラスカから離れてほしいなんて風に言ったら、嫌なんじゃないのか？」
「そうですね・・・正直な所で言うなら、あまり望ましくないのは事実です。アッシュの性格に内に潜んでいる願望の事を考えれば、キムラスカに戻っていただく方が収まりがいいと思っていますからね」
そこからルークに視線を向けてゆっくり考えるように言う孔明だが、ルークが申し訳なさそうにしながらも探るように問い掛けを向けてきたことに平然と頷いて返す。アッシュがキムラスカに戻らないことはあまり望ましくないことだと考えていると言ったこともあり。
「ですがその為にも先程アッシュと話し合った上でと申し上げたのです。二人の意見がどういう風な物となり、二人がどのような結論を出すかを決めるためにも」
「・・・その時に色々考えて決めろってのか・・・」
「平たく言えばそうなりますが、今言ったようにアッシュがキムラスカに戻る方が収まりがいいのは言った通りですが、まずアッシュが貴方と共存共栄を望む可能性が相当に低いことは分かっている筈です。その上で私が出来ることが何かと言えばアッシュに無理矢理にでも貴方と共にいることを納得させるか、貴方をアッシュの目が届かないように私の元で匿うか、もしくはあまり聞きたくはないかもしれませんが・・・アッシュを殺す流れにするかです」
「っ！？アッシュを殺すって、どうしてそんな言葉が出てくるんだよ！？」
続けて話し合いが必要と言いつつ助けを出せる選択肢を挙げる孔明だが、そこで出てきたアッシュを殺すとの物にルークは驚愕してどういうことかと問う。
「あくまで最悪の事態を想定しての事です。貴方もアッシュの言い分は聞いていたでしょう・・・戻りたいけれど戻りたくないと言う相反する気持ちを持ちながらも、貴方に対する殺意だけは揺るぐことはない言い分は」
「っ・・・まぁ、そりゃな・・・」
「現状ではアッシュが戻るか戻らないか・・・その選択がどちらに転ぶとはハッキリ言えないのが私の見立てですが、それでも貴方の事を気に入らないし貴方と共にいるのを拒否するだけならまだしも、貴方を排除にかかるように働き掛ける可能性もあります。一つの例を挙げるならこの屑を殺していいならキムラスカに戻るなどと、理不尽な事を突き付けるような事を言い出す形でです」
「なっ・・・！？」
「無論、絶対にそうなると言うわけではありません。ですがそれほどにアッシュは貴方を拒否しようとする可能性は高いと言うことであり、貴方が危険を感じてアッシュを排除した方がいいと思うのであればその流れに持っていくようにすることも出来なくはない・・・そう私は申し上げているのです」
「・・・っ！」
そこからアッシュのルークに対する殺意がいかに強く、根深いか・・・それらを説明した上で殺されにかかられる前に殺す流れを作ること不可能ではないと言葉にする孔明に、ルークは盛大に表情を苦み走らせていた。あまりのルークにとっての衝撃的な中身に。









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