軍師、納める

「私が今こうしてここにいられるのはお義父さんがモースの手から私を助けてくれたから・・・そうでなかったら多分私はモースにイオン様やお義父さん達の情報を嫌でも流してたと思う・・・」
「・・・どういうことだ、それ?」
「・・・少し話は長くなるけど説明する。いい、お義父さん?」
「貴女が覚悟を決めて話すというのであれば、私が反対する理由はありませんよ」
「ありがとうございます・・・!」
アニスが自分の立場が孔明の行動が無ければいかにまずかったのかを匂わせる様子にルークも食いつき、自身の状況に関して話すことを孔明に確認を取ると一任すると返したことに覚悟を決めたように前を向く。決していいものとは言えない実の両親との関係とそこに関係する面々の間で起こった事を話そうと・・・





















「・・・って訳で、私はお義父さんに助けられたの・・・」
「・・・マジかよ・・・そんなことまでモースしてたってのか・・・つーか本当の両親も、そう聞くと何て言うか・・・う~ん・・・」
・・・それでアニスは自分と家族の間で起こった事についてを話終わると、モースについてはともかくとしても本当の両親に関しては流石にルークも言い淀む。人の両親を今話した当人の前で罵倒出来るほど、ルークも厚顔ではない為に。
「・・・言いたいことは分かるよ。散々両親には考えなしの借金だとかは止めてって何度も言ってきたし、それで二人は全く聞く耳も無かったんだし・・・他の人から見たらいい人だとか教団の敬虔な信者だって風に言われてきたけど、私やモースに借金取りだとかにはいい人じゃなくて単に人の役に立つならそれでいいって考えを放棄してる人達だったから・・・」
「・・・ホント、相当だったんだなお前の本当の両親・・・」
アニスもその様子に気にしないようにと言うが、やはり両親の事を言う時の苦い様子にルークは何とか同調するに留めつつ視線を孔明に向ける。
「・・・両親の説得が難しいって思ったからってのは今も聞いたけど、やっぱ無理だってお前でも思ったのか?」
「はい、それは。彼らの人を疑わない、もしくはいい方向にだけにしか物を見ない考え方はある意味では危険でしかありませんでした・・・もし私が何かを言ったとしても過大に物事を言い過ぎていると判断するだけならまだしも、彼らの性格を考えれば大詠師に直接伺いをたてるという可能性が最も有り得たでしょう。娘や丞相がこんなことを言っていましたが、嘘ですよね?・・・と言うようにです」
「っ!・・・そんなことをしたら・・・」
「間違いなくモースは私達とアニスもそうですが、二人の排除も行っていたでしょうね。まず両親を含めた我々の捕縛を行い、その上で新たに間蝶を仕立て上げてイオンに付かせていたのは確実になっていたでしょう・・・そんな事にさせるつもりなどありませんでしたしもし何かあったとしてもくのいち達が助けては来てくれたでしょうが、そんな結果になって大詠師に謡将達と戦い自分達の正当性を勝ち取ったとしても、彼ら二人は自分達の考えを改めるなどということはなく単にどうしてこうなったと自分達が一因であることに教団の在り方が変わるだろう事に対して考えを放棄するに留まり、真にこれから自分達がどうするべきかという考えには至れなかったでしょう・・・あくまでこれらに関しては予測ではありますが、アニスはこうなってきたという実例を沢山経験してきました。故に私はこうなるだろうという予測の上で判断を下しました・・・あの二人を説得及び引き込むことはしないようにすると」
「・・・そりゃ話をするだけで自分達の身もあぶねぇかもってんなら、言わねぇ方がいいってなるか・・・」
ルークは孔明に改めて両親を引き上げながった理由を問うのだが、予測についての中身を受けて苦い様子ながらも納得する。そこまで両親について危機感を抱く理由が生々しすぎて否定を返せないと感じた為に。









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