軍師、納める
「・・・決まりました。我々はこれで一度退出し、ダアトに戻ろうかと思いますが・・・何かございますか?」
「・・・改めて確認するが、そちらはナタリアのことを言うつもりはないのだな?」
「えぇ、それは。ただ大佐には話を伺っていませんので、そちらはどのようにお考えかは分かりませんが・・・」
「・・・心配なさらなくても結構ですよ。流石にピオニー陛下には報告はさせてはいただきますが、同時にみだりに口外しないようにとも進言させていただきます。今の状態で何の前触れもなくマルクト側がナタリア様の事実を明かすことはキムラスカとの関係の悪化か、最悪はそれこそ戦争に繋がる可能性もあるでしょうからね」
「・・・そうか。ピオニー陛下に言うことは仕方無いにしても、そのようにしてもらえるのであればありがたい」
そして孔明が場はもう終わりといったように話を進めようとした中でインゴベルトがナタリアのことを切り出したことに、自分は大丈夫と言いつつジェイドへと話題を振ると少し面食らいかけたがすぐに気を取り戻して言わないと返す様子にインゴベルトもホッとする。
「では他には何もございませんか?」
「うむ、こちらに来る時には手紙なりで事の経過について報告をしてくれればそれでよい」
「はっ。では我々はこれで失礼します」
「うむ」
そして再度確認を取り報告さえすればいいと返したインゴベルトに孔明も頷き、一同は場から退出していく。
・・・無事にモースを捕らえたばかりかインゴベルト達とも話を自分達にとって望ましい方向に済ませ、バチカルを出ることが出来た孔明達。だがバチカルから出てすぐに待機させている船へと戻るかと思いきや、孔明達は船が遠くに見える位置で立ち止まっていた。
「おい・・・どうしていきなり立ち止まった?早くダアトに行くんじゃなかったのか?」
「そのつもりですが、船に戻る前に言うべきことがあります」
アッシュが先頭の孔明に何故と苛立ったように話し掛けると、当然理由はあると孔明は振り返りつつ答える。
「ルークにアッシュ・・・陛下は貴殿方に考えてほしいとはあの場ではおっしゃっていましたが、キムラスカの現状を考えれば貴殿方のどちらかだけでもキムラスカに戻ってきてほしいという考えを抱いている、もしくは抱くことになるでしょう。もしその時に貴殿方が二人ともにキムラスカから離れることになれば、まず間違いなく王家の血を守るためにもどちらかだけでも引き込もうとするように動く形でです」
「「っ・・・!」」
そこから孔明がルークとアッシュの二人に対してインゴベルト側がどちらかだけでも戻ってほしいと願うだろうと告げると、二人ともに表情を歪める。インゴベルト達からすれば公的な理由も私的な理由もあっての判断ではあるが、だからこそ自分達の判断次第でそれこそキムラスカに無理矢理にでも戻らされる可能性があるということに。
「それらについて複雑な気持ちを二人は抱いていることでしょう・・・ですからこそ貴殿方には決めていただかねばなりません。どちらがキムラスカに戻るかどちらも戻るかを。そしてこの件に関してはアッシュ・・・貴方は嫌かもしれませんが、二人でどうするかについてを話し合っていただかなくてはなりません」
「なっ・・・何故俺がこの屑と話し合いなぞ・・・!」
「この件に関しましては貴殿方二人の意志がどうであるか確認し、どう二人の意見を擦り合わせるか・・・それが重要になるからです。二人の意見が食い違ったならどうするべきかを決めるのもそうですが、何も話し合いをしていない状況で陛下達の前でグダグダと俺はこうするからお前はこうしろだとかの話し合いを見せるつもりですか?」
「っ!・・・くっ・・・」
その可能性についてを加味した上で話し合いについての必要性を述べるとアッシュが極めて嫌そうに表情を歪めるが、インゴベルト達の事を口にすると反論が出来ずに口ごもる。この辺りはアッシュが完全にインゴベルト達を切り捨てられず、また貴族の子として王を前にして無駄話をするなどという醜態を避けたいと考えたいという習性を孔明が利用しての事だ。
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「・・・改めて確認するが、そちらはナタリアのことを言うつもりはないのだな?」
「えぇ、それは。ただ大佐には話を伺っていませんので、そちらはどのようにお考えかは分かりませんが・・・」
「・・・心配なさらなくても結構ですよ。流石にピオニー陛下には報告はさせてはいただきますが、同時にみだりに口外しないようにとも進言させていただきます。今の状態で何の前触れもなくマルクト側がナタリア様の事実を明かすことはキムラスカとの関係の悪化か、最悪はそれこそ戦争に繋がる可能性もあるでしょうからね」
「・・・そうか。ピオニー陛下に言うことは仕方無いにしても、そのようにしてもらえるのであればありがたい」
そして孔明が場はもう終わりといったように話を進めようとした中でインゴベルトがナタリアのことを切り出したことに、自分は大丈夫と言いつつジェイドへと話題を振ると少し面食らいかけたがすぐに気を取り戻して言わないと返す様子にインゴベルトもホッとする。
「では他には何もございませんか?」
「うむ、こちらに来る時には手紙なりで事の経過について報告をしてくれればそれでよい」
「はっ。では我々はこれで失礼します」
「うむ」
そして再度確認を取り報告さえすればいいと返したインゴベルトに孔明も頷き、一同は場から退出していく。
・・・無事にモースを捕らえたばかりかインゴベルト達とも話を自分達にとって望ましい方向に済ませ、バチカルを出ることが出来た孔明達。だがバチカルから出てすぐに待機させている船へと戻るかと思いきや、孔明達は船が遠くに見える位置で立ち止まっていた。
「おい・・・どうしていきなり立ち止まった?早くダアトに行くんじゃなかったのか?」
「そのつもりですが、船に戻る前に言うべきことがあります」
アッシュが先頭の孔明に何故と苛立ったように話し掛けると、当然理由はあると孔明は振り返りつつ答える。
「ルークにアッシュ・・・陛下は貴殿方に考えてほしいとはあの場ではおっしゃっていましたが、キムラスカの現状を考えれば貴殿方のどちらかだけでもキムラスカに戻ってきてほしいという考えを抱いている、もしくは抱くことになるでしょう。もしその時に貴殿方が二人ともにキムラスカから離れることになれば、まず間違いなく王家の血を守るためにもどちらかだけでも引き込もうとするように動く形でです」
「「っ・・・!」」
そこから孔明がルークとアッシュの二人に対してインゴベルト側がどちらかだけでも戻ってほしいと願うだろうと告げると、二人ともに表情を歪める。インゴベルト達からすれば公的な理由も私的な理由もあっての判断ではあるが、だからこそ自分達の判断次第でそれこそキムラスカに無理矢理にでも戻らされる可能性があるということに。
「それらについて複雑な気持ちを二人は抱いていることでしょう・・・ですからこそ貴殿方には決めていただかねばなりません。どちらがキムラスカに戻るかどちらも戻るかを。そしてこの件に関してはアッシュ・・・貴方は嫌かもしれませんが、二人でどうするかについてを話し合っていただかなくてはなりません」
「なっ・・・何故俺がこの屑と話し合いなぞ・・・!」
「この件に関しましては貴殿方二人の意志がどうであるか確認し、どう二人の意見を擦り合わせるか・・・それが重要になるからです。二人の意見が食い違ったならどうするべきかを決めるのもそうですが、何も話し合いをしていない状況で陛下達の前でグダグダと俺はこうするからお前はこうしろだとかの話し合いを見せるつもりですか?」
「っ!・・・くっ・・・」
その可能性についてを加味した上で話し合いについての必要性を述べるとアッシュが極めて嫌そうに表情を歪めるが、インゴベルト達の事を口にすると反論が出来ずに口ごもる。この辺りはアッシュが完全にインゴベルト達を切り捨てられず、また貴族の子として王を前にして無駄話をするなどという醜態を避けたいと考えたいという習性を孔明が利用しての事だ。
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