軍師、圧倒する
「コ、コーメイ貴様・・・何故そのような重大な事を私に黙っていた!?」
「先程も同じようなことを申し上げましたが言っても貴方が預言に詠まれていない事など信じないだろうことに加え、謡将の都合のいい口車に乗せられるだろう事が火を見るより明らかだったからですが、可能性は低くともまた別の方向性で事態が動きかねなかったからです。そしてそれが何かと言えば、貴方が我々及び謡将一派の粛清を執り行いにかかることです」
「何・・・!?」
それで声が出る程度には力を緩められたモースは怒声で何故と問い掛けるが、もしもの場合に粛清が有り得たと口にする孔明に眉を寄せる。
「これは貴方の性格に思考回路を考えればまず謡将一派に関しては都合のいい理由付けをされればそれを疑いはしなかったでしょうが、それでもディストに間蝶の役目を負わせて謡将の事を一応は警戒をしていた貴方の事です。事の成り行き次第では事態について発覚したなら、我々と共に謡将が危険であったなら殺して止めるのもやむ無しという気持ちもまた存在は少なからずしていたはずです・・・違いますか?」
「・・・そうなのか、モースよ?」
「・・・はい、その通りです。一応は我々の役に立つとは言え得体の知れぬ技術を持つヴァンをただ野放しにすることはどうかと思い、ディストをスパイにしたのですが・・・」
「そのディスト自体が丞相の手の者であり、丞相の事も含めて重要な事は何も知らされなかった・・・というわけか」
「・・・っ!」
粛清と言った理由について少なからずの警戒心がヴァンに対してあったことを根拠と共に口にする孔明にインゴベルトも確認を取ると、モースは苦々しげに肯定を返した上で怒りに歯噛みする。インゴベルトに呆れ気味に反応されたこともそうだろうが、孔明とヴァン達の掌の上で何も知らないままに踊ってきたと同然と自覚させられたが為に。
「そうなりますが、それでも事実を知ったならば大詠師という立場の事もあり、我々に謡将達の事をただ放っておくなどということは考えにくかったと思われます。ですのでその時の大詠師の対応はまず謡将達を本当の意味で配下に置けるなら置き、それが叶わないならやむを得ず殺す・・・と我々も含めて大規模な粛清をする事になっていたでしょう」
「・・・一つ気になるが、何故そこまでモースはヴァンを引き込もうとするというか惜しむような事をするのだ?他にも人材が全くいない訳でもないだろう」
「理由としてまず上がるのは謡将がユリアの血族であることもありますが、謡将を信奉している神託の盾の兵士の数が決して少なくない事に加えて将としての資質を持つ者を大詠師が自身で見出だそうとしていなかったことにあります・・・これは神託の盾に人材がいないという訳ではありませんが、軍における地位という物はキムラスカとマルクトと比べてダアトではあまり重要視はされておらず、精々謡将の地位になって教団の中で発言権を持って注目される程度・・・そんな中で謡将が長年謡将という地位にいて取り立てて失敗もなく、人の入れ替わりも特に無いとなれば大詠師が頼りにする・・・いえ、謡将に言えばそれでいいと考える訳です」
「成程・・・そうやってヴァンに任せてきたからこそヴァンがいなくなる事態に備えることもなく、更には丞相もいたから他に目ぼしい将もいなかったというわけか・・・」
孔明はモースのそんな様子など気にせずに話を進めていき、インゴベルトがヴァンを手放さない可能性が高い理由についてを聞いてきた為にその理由を答えると一層の呆れのこもった顔がモースに向けられる。上に立つ者としてあまりにも下に丸投げして、何も考えていないと言った体たらくを聞いたが為に。
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「先程も同じようなことを申し上げましたが言っても貴方が預言に詠まれていない事など信じないだろうことに加え、謡将の都合のいい口車に乗せられるだろう事が火を見るより明らかだったからですが、可能性は低くともまた別の方向性で事態が動きかねなかったからです。そしてそれが何かと言えば、貴方が我々及び謡将一派の粛清を執り行いにかかることです」
「何・・・!?」
それで声が出る程度には力を緩められたモースは怒声で何故と問い掛けるが、もしもの場合に粛清が有り得たと口にする孔明に眉を寄せる。
「これは貴方の性格に思考回路を考えればまず謡将一派に関しては都合のいい理由付けをされればそれを疑いはしなかったでしょうが、それでもディストに間蝶の役目を負わせて謡将の事を一応は警戒をしていた貴方の事です。事の成り行き次第では事態について発覚したなら、我々と共に謡将が危険であったなら殺して止めるのもやむ無しという気持ちもまた存在は少なからずしていたはずです・・・違いますか?」
「・・・そうなのか、モースよ?」
「・・・はい、その通りです。一応は我々の役に立つとは言え得体の知れぬ技術を持つヴァンをただ野放しにすることはどうかと思い、ディストをスパイにしたのですが・・・」
「そのディスト自体が丞相の手の者であり、丞相の事も含めて重要な事は何も知らされなかった・・・というわけか」
「・・・っ!」
粛清と言った理由について少なからずの警戒心がヴァンに対してあったことを根拠と共に口にする孔明にインゴベルトも確認を取ると、モースは苦々しげに肯定を返した上で怒りに歯噛みする。インゴベルトに呆れ気味に反応されたこともそうだろうが、孔明とヴァン達の掌の上で何も知らないままに踊ってきたと同然と自覚させられたが為に。
「そうなりますが、それでも事実を知ったならば大詠師という立場の事もあり、我々に謡将達の事をただ放っておくなどということは考えにくかったと思われます。ですのでその時の大詠師の対応はまず謡将達を本当の意味で配下に置けるなら置き、それが叶わないならやむを得ず殺す・・・と我々も含めて大規模な粛清をする事になっていたでしょう」
「・・・一つ気になるが、何故そこまでモースはヴァンを引き込もうとするというか惜しむような事をするのだ?他にも人材が全くいない訳でもないだろう」
「理由としてまず上がるのは謡将がユリアの血族であることもありますが、謡将を信奉している神託の盾の兵士の数が決して少なくない事に加えて将としての資質を持つ者を大詠師が自身で見出だそうとしていなかったことにあります・・・これは神託の盾に人材がいないという訳ではありませんが、軍における地位という物はキムラスカとマルクトと比べてダアトではあまり重要視はされておらず、精々謡将の地位になって教団の中で発言権を持って注目される程度・・・そんな中で謡将が長年謡将という地位にいて取り立てて失敗もなく、人の入れ替わりも特に無いとなれば大詠師が頼りにする・・・いえ、謡将に言えばそれでいいと考える訳です」
「成程・・・そうやってヴァンに任せてきたからこそヴァンがいなくなる事態に備えることもなく、更には丞相もいたから他に目ぼしい将もいなかったというわけか・・・」
孔明はモースのそんな様子など気にせずに話を進めていき、インゴベルトがヴァンを手放さない可能性が高い理由についてを聞いてきた為にその理由を答えると一層の呆れのこもった顔がモースに向けられる。上に立つ者としてあまりにも下に丸投げして、何も考えていないと言った体たらくを聞いたが為に。
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