「ティア＝グランツ、私が貴女の元に来たわけは一連のファブレ邸での件についてになります。ですが貴女のその様子を見る限りでは何も大したことはしていない・・・そう思っているというのは明白です」
「大したことはしてないって・・・私はただ兄を襲っただけで・・・」
「貴女自身自分が大したことはないと思っている、というのは先程に加え今の発言でよく分かっています。ですが事はそう簡単ではありません・・・実は貴女の行動についてキムラスカから一連の流れについてを説明した手紙という名の、実質的な抗議文が送られてきたのですよ」
「なっ、なんでそんな物が送られてきたんですか・・・そんなことをされる覚えはないはずなのに・・・！？」
「・・・ふぅ」
孔明はその流れからティアにキムラスカからの手紙についてを切り出すが、有り得ないと驚愕を明らかにする様子に心底からのタメ息を漏らす。
「・・・貴女に分かっていただくように一つずつお聞きしていきます。まず、貴女は何故よりにもよってファブレ邸で事に及ぶことを選択したのですか？」
「え・・・そ、それは・・・・・・私はただ、兄さんがそこにいると知ったから・・・一刻も早く止めなければならない、そう思って・・・」
「だから事に及んだ、ですか？・・・私は何故ファブレ邸という個人の邸宅でありながら、キムラスカの要人の住まわれる警護の厳しい場所をわざわざ選んだのかと聞いているのです」
「はっ・・・？」
「貴女が何故謡将を襲うのかという理由については今は置いておきますが、わざわざファブレ邸を選んだ理由・・・それは本当にファブレ邸でなければならなかった理由はあったのですか？わざわざ警護の厳しいファブレ邸にまで譜歌を用いてそこにいる方々を眠らせ制圧するという強行手段まで使い、そこでダアトの人間である謡将を襲わなければならない理由が」
「・・・それ、は・・・・・・ファブレでなければならない理由があるか、と言われると・・・・・・無いとしか、言えません・・・」
「はぁっ！？だったら家はそんな理由もないもんで襲われて、俺はそんな考えなしの行動に巻き込まれたってのかよ！？」
そこから孔明は質問をしていくがティアはファブレ邸で事に及ばなければならない理由は特になかったと徐々に萎んでいく声量で打ち明け、ルークはその答えに怒りを露に声を荒らげる。一番の当事者で被害者の反応としては当然の物と言えるだろう。
「・・・その件について、遅れ馳せながら心から謝罪させていただきます。ティア＝グランツの引き起こした行動に御身を危険に晒してしまったばかりか、バチカルよりマルクトにまで飛ばされた事を」
「僕も謝らせていただきます・・・ティアの事について聞かなかった事もそうですが、流石にそんな理由と経緯を聞いてしまえば導師として謝罪せざるを得ません・・・部下が本当に申し訳ありませんでした」
「コーメイ様・・・イオン様・・・っ！」
そんなルークに向けて頭を下げる孔明とイオンの姿に、ティアは愕然とした表情を浮かべる。特にイオンが名前でなく導師として一線を引いたような態度にショックを受けたようになる形で。
「・・・正直、まだ納得出来てねぇ部分はあるけど・・・とりあえず今は話を先に進めろ。話を聞いた感じだとまだこいつに言わなきゃなんねぇ事があんだろ？まずはそれを聞かせろ。俺が許すか許さねぇかはそっからだ」
「ありがとうございます、ではお言葉に甘えて話を続けさせていただきます」
「・・・っ！」
ルークはその姿に一先ず少しは頭が冷えたようで抑えた声で先を促すと孔明は頭を上げ、ティアに視線を向ける。これから何を言われるのかと、怯えるような表情を見せるティアへ。








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