軍師、圧倒する

「もしそうなれば後は預言の中身がどうあれ、戦争が終わる・・・どちらかの国の王の首を取るまでは止まることは無かったでしょう。それこそ大地が無くなるほどの衝撃的な出来事が無ければ」
「・・・それこそ外殻大地の浮上が無ければ、行くところまで行くしかなかったということか。そしてヴァンがホドで詠んだという第七譜石の通りの結末になりかねなかったと・・・」
「ちょっ、ちょっと待ってください!」
「・・・何ですか、アッシュ?と言っても、聞きたいことはおそらく話に出てきた第七譜石についてでしょう・・・大詠師も含め、どういうことか聞かれたそうにしていますからね」
孔明とインゴベルトはそのままに話を続けようとしていたが、たまらずアッシュが口を挟んできた様子に何を聞きたいのかを察する。未だに地に臥せられているモースもそうだが、ルークにジェイド達もどういうことなのかといった視線を向けてきている理由を。
「と言っても言葉通りです。元々ホドにいた謡将は崩れ落ちるホドの大地から逃げる時にたまたま見つけた第七譜石を詠んだそうです。そしてその中身は簡単に言うならば戦争はキムラスカの勝利に終わるが、その後に病気が蔓延して障気が世界を覆いオールドラントが滅びる・・・と言った中身と、リグレットはお聞きしたそうです」
「リグレット、てめぇ・・・何でそれを黙っていやがった!」
孔明は大して気負った様子もなくその中身についてをリグレットから聞いたと言えば、アッシュはそのリグレットに噛みつくように何故言わなかったと問う。俺にも聞かせるべきだったろうとばかりに。
「今はお前は我々の味方だと思っているからか、それとも謡将の配下にいた時に何故その中身を聞かされなかったのか・・・どちらの意味で言っているのかは分からんが、後者の意味で言っているのであれば単純にお前にその預言の事を言えば良くない結果が起こるだろうと見てのことだ。主にその預言を知ったことにより、謡将やダアトにキムラスカの範疇に収まらない行動を取りかねんと見てな」
「範疇に収まらん、だと・・・!?」
「具体的に言うなら妙な義侠心に駆られて考えなしの事実の暴露と言った行動に出る可能性だ。流石に預言の全てをお前に明かしたならそういった暴走に出かねないと有り得ると見られていた・・・キムラスカに対しての気持ちというか心残りを完全に解消しきれていないお前では、謡将に反旗を翻す可能性も有り得るとな」
「っ・・・ぐ・・・っ!」
そんな態度にリグレットは前置きを置いた上で暴走についての危惧があったからこそと返し、その中身にアッシュは極めて悔しげに歯を噛みながらも否定を返せなかった。キムラスカに心残りがないと言いたいが言えない、だが同時にキムラスカに心残りがあるとも言えないとインゴベルト達の前であるからこそどうとも言えない形で。
「リグレットから話を引き継ぎますが、この事についてを貴殿方に先にお話していなかったことはお詫び致します。ただ敢えて貴殿方に今の話についてお話ししなかった事に関して、あまり聞かせたくなかった人物が近くにいたからになります」
「・・・それはティア=グランツのことですね?」
「その通りです」
孔明は話を引き継いでから頭を下げた後に何故言わなかったのかを多少遠回りに口にするが、ジェイドのティアに対して距離を取った名字付けの確認に頷いて返す。









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