軍師、焔達と会う

「えぇ・・・とは言ってもこの話はあまり人前で話すべきではありませんので、出てきたばかりで申し訳ありませんが休憩所でお話をしましょう。少々他の皆様にもお聞きしたい事がありますので、ゆっくりとお話をさせていただきたい」
「・・・わかりました。貴方がわざわざここまでティア達の為に来たという理由について、聞かせてください。ジェイド達もいいですか?」
「私も構いません・・・どうやらイオン様達にとって、必要な事のようですからね」
「俺も構わねぇよ、今から急いだって師匠に追い付けねぇだろうしな」
「・・・では決まりのようですね。中に入りましょう」
そんな声に頷いてから話を詰所でという孔明に、真剣なイオンに何か意味深な様子で頷くジェイドに至って気楽そうに返すルークの三人の揃った肯定の声に、辺りを見渡して反対の声がないことで孔明は中に入るように話を進める。









・・・そして休憩所に入った一行は入口を孔明の連れてきた兵士が固める中、話をする体勢に入る。
「あの・・・それでコーメイ様はどうして私の事で、ここまで来たのでしょうか・・・?」
「その前にルーク殿にまずお聞きしたい事があるのですが、よろしいでしょうか?」
「俺に?なんだよ?」
それで真っ先に口を開いたのは先程から何故と聞きたそうにしていたのはティアだが、孔明はルークの方へと伺いを立てる。
「ルーク殿はバチカルより疑似超振動でティア=グランツと共に飛ばされ、マルクト領に落ちたとお聞きしましたが彼女と共に行動された理由をお聞かせ願えないでしょうか?」
「一緒に行動した理由?・・・確かこいつが巻き込んでしまった事は謝る、私には貴方をバチカルに送る義務があるってそう言われたから一緒に行くことにしたんだよ。そん時は俺はどこに自分がいるのかもさっぱりわかんねぇ状態だったから、一人で行動したってどうにもならねぇって思ったのもあってな」
「・・・そうですか」
それで早速質問をする孔明だが、ルークが思い出しながら話すその中身にただ一言で納得するがどこか呆れの響きが滲んでいた。
「ではティア=グランツ。次は貴女にお聞きしますが・・・何故キムラスカのバチカル、それもファブレ邸などという場所で謡将を襲うという行動を取ったのですか?」
「なっ!?何故コーメイ様がその事を!?」
「・・・やはり事の重大さを全く分かっていませんでしたか・・・」
その空気のまま続いてティアへと質問をする孔明だが、全くそんな質問がされることを想定していなかったと最大限に驚愕を露にする様子に羽扇で口元を隠しながら眉間に多大にシワを寄せる。
「少々お待ちを・・・ティアはそのような事をして、ルークと共にバチカルからタタル渓谷にまで飛ぶことになったというのですか?」
「そうですが・・・彼女から話を聞いていなかったのですか?マルクトに飛んできた理由についてを」
「疑似超振動で飛んできたことに加え、二人の立場の違いがあることから彼女がファブレをダアトか神託の盾としての命で訪れた際の何かの偶然でそうなってしまった・・・そう勝手ではありますが、考えたんですよ。それに事情を聞こうにもティアはあまりそれを語りたくないと言った様子でしたから、こちらに害がないなら敢えて突っ込んで話を聞かない方がいいと思ったのもありますがね」
「・・・そうですか」
今度はジェイドがその事実について聞いてくるが、何も聞いてなかったのかと聞くと予想と日和見の二つを合わせた考えを返され孔明はまた一言で納得するに留める。口元から羽扇を外さないままに。
「それでは貴方は、ファブレの従者の方ですね。でしたら何故貴方がその事を皆様にお伝えしなかったのかをお聞きしたいのですが・・・」
「いや、俺はもうその事は知っている物だって思っていたんだ・・・その上でルーク達は一緒にいるんだとね」
「ふむ・・・では最後にくのいち、貴女はこの事実について知ろうとしなかったのですか?」
「一応ルーク様からは二人になった時に話はしました。何故マルクトにいるのかと。ですが状況としてそれらを口にすれば色々と面倒な事が起きる可能性が高くなると思い、敢えて皆がいる場所では口にはしませんでした」
「状況、ですか・・・成程、分かりました。そういうことなら順を追って一から話をした方が良さそうですね。この後の事を考えれば」
「え・・・?」
そこからガイにくのいちと真面目に話をする二人の言葉を受け、孔明は決心したよう羽扇を口元から離す。不穏な空気を感じてか、戸惑いを隠せないティアに視線を向けて一層戸惑わせる形にして。







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