軍師、圧倒する
「とは言えどちらになるかを恐々としてバチカルに向かうつもりはありませんよ」
「・・・どっちになっても大丈夫なのは、流石お義父さんだと思います。けどモースにやったようにナタリア様に睡眠薬とか入れるようにした方が楽じゃないですか?知られる方が面倒だっていうなら・・・」
「アニスの疑問も最もですが、この事に関してはナタリア様に事実を知られるか否か・・・どちらになってもある程度の問題は出てきますし、我々も教団の人間として動く以上はどちらになっても見て見ぬふりは許されない立ち位置にいます。となれば預言を頼りにどうするかという意味でではなく、天に決断を委ねた方がいいと私は思っています。殿下が事実を知るべきか否かを」
「・・・お義父さんがそう言うなら私は反対しないですけど、意外とお義父さんそういうところで面倒がない方に一直線にならないですよね?普段はどうなるのが理想的な流れなのかって事を最優先に選ぶのが当たり前だけど、時々運任せというか天に任せるとかって言うし・・・」
それで孔明が全く気負った様子を浮かべない姿にアニスは解決策についてを口にするが、天に任せるという返しに疑問を口にするとくのいち以外の面々が同意とばかりに頷く。利を優先する傾向のある孔明らしくないと。
「私とて人間です。効率のみで全てを判断する譜業仕掛けの人形ではありませんよ。それにそういうことを言うならそもそもこう言った形を取って動いているのはこの方が失敗が少ないといった考えがあるのは否定しませんが、それでも合理的な事だけを優先するならもっと冷徹でいて手間を省いたやり方を用いますし・・・何より貴女の事をこうして娘として愛したりはしませんよ」
「っ!・・・私のこと、娘として愛してくれているんですか・・・?」
「それは勿論ですよ。最初こそ貴女の身の上に同情をした上で事情があるとはいえ親から引き剥がした事を申し訳無いという気持ちもありましたが、今となってはもう貴女は私とくのいちにとって愛する娘です。血は繋がっていなくとも、貴女がもしタトリン夫妻の元に戻ると選んだとしても」
「!!」
だが孔明が利ばかりの人間ではないと否定した上で当然の事とばかりに口にした愛するとの言葉に、アニスは瞬時に涙を溢れさせた・・・愛していると、そう父親として優しく嘘がない言葉を向けられた事に。
「あ~、もう旦那様~。泣かせちゃ駄目ですよ~」
「すみません、正直こんな反応が返ってくるとは思っていませんでした・・・もしかして、私にこんなことを言われるのは嫌でしたか?」
「いや・・・じゃないです・・・こんな、風に・・・ちゃんと、愛してるなんて・・・言われると、思って・・・なかった、から・・・嬉しく、なって・・・!」
その姿にくのいちがちゃらけたような言い方をして批難しつつもアニスに近付き優しくハンカチで涙を拭い、孔明も謝りつつ声をかけるとアニスは涙声ながら精一杯に返していく。
「・・・丞相、話も聞けましたから我々は部屋から退出しますよ」
「すみません、ディスト・・・」
ディストはそんな空気に少し切り出しにくそうにしながらも退出を切り出し、孔明の申し訳なさそうな声に四人は静かにその場を後にしていく。泣いているアニスに優しく寄り添う二人を扉の向こうの光景として残しながら。
・・・そんな光景の余韻を残しつつ、外に出たディスト達は他の誰もいない部屋に入った。
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「・・・どっちになっても大丈夫なのは、流石お義父さんだと思います。けどモースにやったようにナタリア様に睡眠薬とか入れるようにした方が楽じゃないですか?知られる方が面倒だっていうなら・・・」
「アニスの疑問も最もですが、この事に関してはナタリア様に事実を知られるか否か・・・どちらになってもある程度の問題は出てきますし、我々も教団の人間として動く以上はどちらになっても見て見ぬふりは許されない立ち位置にいます。となれば預言を頼りにどうするかという意味でではなく、天に決断を委ねた方がいいと私は思っています。殿下が事実を知るべきか否かを」
「・・・お義父さんがそう言うなら私は反対しないですけど、意外とお義父さんそういうところで面倒がない方に一直線にならないですよね?普段はどうなるのが理想的な流れなのかって事を最優先に選ぶのが当たり前だけど、時々運任せというか天に任せるとかって言うし・・・」
それで孔明が全く気負った様子を浮かべない姿にアニスは解決策についてを口にするが、天に任せるという返しに疑問を口にするとくのいち以外の面々が同意とばかりに頷く。利を優先する傾向のある孔明らしくないと。
「私とて人間です。効率のみで全てを判断する譜業仕掛けの人形ではありませんよ。それにそういうことを言うならそもそもこう言った形を取って動いているのはこの方が失敗が少ないといった考えがあるのは否定しませんが、それでも合理的な事だけを優先するならもっと冷徹でいて手間を省いたやり方を用いますし・・・何より貴女の事をこうして娘として愛したりはしませんよ」
「っ!・・・私のこと、娘として愛してくれているんですか・・・?」
「それは勿論ですよ。最初こそ貴女の身の上に同情をした上で事情があるとはいえ親から引き剥がした事を申し訳無いという気持ちもありましたが、今となってはもう貴女は私とくのいちにとって愛する娘です。血は繋がっていなくとも、貴女がもしタトリン夫妻の元に戻ると選んだとしても」
「!!」
だが孔明が利ばかりの人間ではないと否定した上で当然の事とばかりに口にした愛するとの言葉に、アニスは瞬時に涙を溢れさせた・・・愛していると、そう父親として優しく嘘がない言葉を向けられた事に。
「あ~、もう旦那様~。泣かせちゃ駄目ですよ~」
「すみません、正直こんな反応が返ってくるとは思っていませんでした・・・もしかして、私にこんなことを言われるのは嫌でしたか?」
「いや・・・じゃないです・・・こんな、風に・・・ちゃんと、愛してるなんて・・・言われると、思って・・・なかった、から・・・嬉しく、なって・・・!」
その姿にくのいちがちゃらけたような言い方をして批難しつつもアニスに近付き優しくハンカチで涙を拭い、孔明も謝りつつ声をかけるとアニスは涙声ながら精一杯に返していく。
「・・・丞相、話も聞けましたから我々は部屋から退出しますよ」
「すみません、ディスト・・・」
ディストはそんな空気に少し切り出しにくそうにしながらも退出を切り出し、孔明の申し訳なさそうな声に四人は静かにその場を後にしていく。泣いているアニスに優しく寄り添う二人を扉の向こうの光景として残しながら。
・・・そんな光景の余韻を残しつつ、外に出たディスト達は他の誰もいない部屋に入った。
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