女忍、影に動く
「では私はこれで失礼致します・・・尚明日になればそちらを訪れるようには致しますが、大詠師には我々が来訪するとはお伝えしないようにお願い致します。事前に我々が訪れると知ったなら大詠師が何やら不穏な流れになるのではと、妙な詮索をして動くことも全く有り得ない話ではないでしょう」
「うむ、分かった。こちらとしてもそのようなことは望んでおらぬからな」
「ありがとうございます。では私はこれで失礼致します」
「うむ、待っておるぞ」
そしてくのいちが念押しとしてモースに情報を流さないように頼み、インゴベルトが頷いたことで退出の言葉の後に部屋を後にする。二人の見送りの視線を背に受けながら。
・・・それで部屋を出て城からも出たくのいちは一目散に孔明達の待っている船に向かい、辿り着いた後に経緯について説明した。
「・・・成程、明日ですか」
「普通なら罠とか警戒するところですけど、これで大丈夫ですよね?」
「えぇ、問題ありません。今の陛下達なら貴女の言葉に疑心暗鬼になっていて、まず我々を一方的に排除にかかることは無いでしょう。むしろそのような短慮に任せた行動をすればまず間違いなく訪れるのは、ダアトに対して頭が上がらなくなる未来以外にない・・・そのような未来はあちらも避けたいでしょうから、明日でモースと我らのどちらに信を置くのか・・・それを向こうの立場から見極める為にも、こちらを害するつもりはないでしょう。最も、こちらが失敗したなら話は別になりますが・・・そのつもりはありませんからね」
「おおう、流石旦那様♪自信に溢れてる~♪」
・・・そして報告を終えたくのいちに孔明は失敗するなど有り得ないとばかりの微笑みを浮かべ、くのいちもまたちゃらけたような態度で笑顔を浮かべる。
「おっと・・・それで明日でよろしかったんで?」
「それは問題ありませんよ。向こうもそうですが、こちらもある程度の時間は必要でしょうからね」
「ん~・・・それってアッシュとルークのどっちっすか?」
「ルークの方に関しては取り立てて心配はしていませんが、問題なのはやはりというべきかアッシュの方ですね。むしろルークの方が覚悟が出来ているといった方がよろしいでしょう」
「ありゃりゃ・・・そこまで違うってのも意外ですけど、ルークの方はそんなに覚悟してるんですか?」
それで思い出したように期限についてを話題にするのだが、次第に流れがルークとアッシュの二人の違い・・・特にルークについてになり、孔明の言葉に首を傾げながらくのいちは問う。
「この辺りの違いは両者の立場に意識の違いから来るものが大きいと思われます。アッシュは口では色々と言って警戒と言ったようには振る舞いはしていますが、その根底には自分はレプリカなんかと違って死ぬべき存在ではないという傲慢さに加えて何だかんだで殺されることはないだろうという安穏な気持ちが感じ取れます。ルークはその逆といった所ですね」
「安穏な気持ち、ですか?」
「アッシュ自身は自覚はしていないでしょうが、私に何らかの接触を取ってこない事が一つの証拠です。私は貴女が戻る前にルークの訪問を受けました・・・主な理由は自分がバチカルに行った後にどうなるかにどうすればいいか分からないと相談を持ち掛けてきた物で、何故私に話をしたのかを聞くとこの一団の中で一番偉い立場にいるのが私でどうにか出来るのではないかというすがるような思いがこもった物でした」
「でもアッシュは旦那様の元に来ることは無かった、と・・・」
「彼が誰かを頼るような性分ではないことは承知はしています。ですがルークと立場が近いはずの彼が誰にも何も言わずにいる・・・これは自分の力でやるという強がりから来るものもあるでしょうが、アッシュの立場からどうしたいかと今後の事を考えれば私の元を訪れる事は必須になるんです」
その上でアッシュが危機感を持っていないという根拠を孔明は語る。何も接触をしてこないことの意味を。
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「うむ、分かった。こちらとしてもそのようなことは望んでおらぬからな」
「ありがとうございます。では私はこれで失礼致します」
「うむ、待っておるぞ」
そしてくのいちが念押しとしてモースに情報を流さないように頼み、インゴベルトが頷いたことで退出の言葉の後に部屋を後にする。二人の見送りの視線を背に受けながら。
・・・それで部屋を出て城からも出たくのいちは一目散に孔明達の待っている船に向かい、辿り着いた後に経緯について説明した。
「・・・成程、明日ですか」
「普通なら罠とか警戒するところですけど、これで大丈夫ですよね?」
「えぇ、問題ありません。今の陛下達なら貴女の言葉に疑心暗鬼になっていて、まず我々を一方的に排除にかかることは無いでしょう。むしろそのような短慮に任せた行動をすればまず間違いなく訪れるのは、ダアトに対して頭が上がらなくなる未来以外にない・・・そのような未来はあちらも避けたいでしょうから、明日でモースと我らのどちらに信を置くのか・・・それを向こうの立場から見極める為にも、こちらを害するつもりはないでしょう。最も、こちらが失敗したなら話は別になりますが・・・そのつもりはありませんからね」
「おおう、流石旦那様♪自信に溢れてる~♪」
・・・そして報告を終えたくのいちに孔明は失敗するなど有り得ないとばかりの微笑みを浮かべ、くのいちもまたちゃらけたような態度で笑顔を浮かべる。
「おっと・・・それで明日でよろしかったんで?」
「それは問題ありませんよ。向こうもそうですが、こちらもある程度の時間は必要でしょうからね」
「ん~・・・それってアッシュとルークのどっちっすか?」
「ルークの方に関しては取り立てて心配はしていませんが、問題なのはやはりというべきかアッシュの方ですね。むしろルークの方が覚悟が出来ているといった方がよろしいでしょう」
「ありゃりゃ・・・そこまで違うってのも意外ですけど、ルークの方はそんなに覚悟してるんですか?」
それで思い出したように期限についてを話題にするのだが、次第に流れがルークとアッシュの二人の違い・・・特にルークについてになり、孔明の言葉に首を傾げながらくのいちは問う。
「この辺りの違いは両者の立場に意識の違いから来るものが大きいと思われます。アッシュは口では色々と言って警戒と言ったようには振る舞いはしていますが、その根底には自分はレプリカなんかと違って死ぬべき存在ではないという傲慢さに加えて何だかんだで殺されることはないだろうという安穏な気持ちが感じ取れます。ルークはその逆といった所ですね」
「安穏な気持ち、ですか?」
「アッシュ自身は自覚はしていないでしょうが、私に何らかの接触を取ってこない事が一つの証拠です。私は貴女が戻る前にルークの訪問を受けました・・・主な理由は自分がバチカルに行った後にどうなるかにどうすればいいか分からないと相談を持ち掛けてきた物で、何故私に話をしたのかを聞くとこの一団の中で一番偉い立場にいるのが私でどうにか出来るのではないかというすがるような思いがこもった物でした」
「でもアッシュは旦那様の元に来ることは無かった、と・・・」
「彼が誰かを頼るような性分ではないことは承知はしています。ですがルークと立場が近いはずの彼が誰にも何も言わずにいる・・・これは自分の力でやるという強がりから来るものもあるでしょうが、アッシュの立場からどうしたいかと今後の事を考えれば私の元を訪れる事は必須になるんです」
その上でアッシュが危機感を持っていないという根拠を孔明は語る。何も接触をしてこないことの意味を。
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