女忍、影に動く

「・・・今までの話に関しまして、全てを信じることが難しいであろうことは承知しております。ですがそれらは無視出来ない事実であることもそうですが、かといって大詠師に判断の全てを委ねるか決定権を一部でも与えるような事をすればそれこそデタラメだとか預言には詠まれてないといった言葉で全て押し流そうとすることでしょう。考えもしないままにということもそうですが、何より自分がどういったことをしてきたのか・・・それらを全く気にしないばかりか、下手をすればそれこそナタリア様の事実を盾にキムラスカを自分の配下同然の立場にしようとしかねなかった形で。ですが我々はそういった行動を許してはならないと思い、行動してきたのです」
「・・・ではそちらはモースの査問といったように言ったが、その実は連行に来たということか・・・?」
「連行という言い方はあまり好ましくはありません。あくまでも我々としてはローレライ教団の是正及び、預言の事実がいかなものかを正しく認知した上でいかにオールドラント全体の益となるかを判断して伝える為に行動しているのです。その上で大詠師の行動が望ましくない物であった事は確かな事実ではありますが、大詠師の性格に思考からすればあくまでも預言の達成の為で悪いことはしていないと一貫して主張することでしょう・・・その中で我々に謡将の言葉を受け、詠師達も含めたダアトの上層部の判断に対して大詠師がどのように考えるのか・・・それらが肝要になります。今後の大詠師の行く末を左右するという意味で。ですので我々としては大詠師と協力が出来るのであれば様々な制約こそかかるでしょうがそうしたいと思っていますし、そうでなければ然るべき行動を取る・・・罪人扱いで連行するために最初からこちらに来るわけではありませんし、何より些細なことではありますが大詠師が罪人扱いで連行されるのでは・・・と言ったように感じれば自分の弁明の為だけの言葉を吐き続けるでしょうからね」
「・・・ふむ、確かにこちらの言い方が悪かった。それなら連行ではなく査問で間違いはないな」
「えぇ、陛下」
「ご理解いただきありがとうございます(まぁ二人もモースに対して不信感を抱いてるだろうから、これくらいは当然乗ってくるよね~)」
続けてモースに対しての不信感を滲ませ植え付けるように話をしていくくのいちが話の中で連行ではないと強調すると、二人もその意図を汲み取ったように訂正をしてきたために成功と内心で笑う。モースに対して苦い思いをしたことに対して、意趣返しを陰でとは言えしてきたことに。
「(さて、これで旦那様達を呼び込む準備は整ったことだしそろそろ退却しますか)さて・・まだまだお話しせねばならぬ事はありますが陛下、そろそろ私は丞相に話をするために丞相の元に戻りたいと思います。陛下に話をお聞きいただけるようにしていただいたと報告をするために」
「うむ、そこから先は丞相が来てからだが・・・今日の内に来るのか?」
「丞相達は近くにまでは来ていますが、明日の方が都合がいいというのであればそうお伝えします」
「うむ、頼む・・・クリムゾン、夜になったらモースに先の件について探りを入れてこい。そして結果が分かればすぐに報告に来い、よいな?」
「はっ、分かりました」
そして一通りやることを終えたと判断して戻ると切り出すくのいちにインゴベルトは頷いてから公爵に命令を下し、それを受けると真剣な面持ちで返す。信憑性の高い話でも確認は怠らないといった慎重な様子で。









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