軍師、焔達と会う

「・・・さて、それでは僕達もここを抜けましょうか」
「少々お待ちください、導師」
「っ!・・・貴方は、コーメイ・・・何故ここに・・・!?」
「えっ・・・この人が、コーメイ様・・・!?」
イオンが一通り流れが終わり、先に行こうと言い出した所に現れた孔明。イオンはその姿に何故と驚き、ティアとおぼしき女の神託の盾兵士が本物なのかとばかりの驚きを多分に含んだ目を向けてくる。
「あ?コーメイって確か、こっちの姉ちゃんの旦那の名前だよな?」
「はい、そうです・・・どうしたんですかい旦那様~、ここまで来るなんて思ってませんでしたぜ」
「・・・くのいち、いつものようにするのは構わないと言いたいのですがいきなりはやめてください。ルーク殿を始めとして皆様が驚いているではありませんか」
「あぁ、そうでした~・・・すみません、ルーク様。見苦しい姿をお見せしました」
「あ、いや・・・別に構わねぇよ。夫婦の関係に俺が口出しするようなもんじゃねぇだろうしよ」
そこにキムラスカ王族の特徴である赤い髪に翠の瞳という、目立つ目印を持つ少年・・・ルークの視線が近くにいたくのいちに向けられると、唐突に繰り広げられる孔明との真面目に引き締められた公とおちゃらけたような笑顔の私を使い分ける会話が繰り広げられ出した事に、謝られた当人は戸惑いながらも首を横に振る。
「・・・貴方がコーメイ殿ですね。私はマルクト帝国軍第三師団団長のジェイドです・・・まずはお礼を言わせていただきましょう。貴方の奥方殿がこちらに付いてきていた事を知った時には驚きましたが、結果的にその奥方殿に助けられました。聞けば貴方の指示でイオン様を追ってきたとの事ですが・・・」
「いえ、気になさらず。導師の身の安全はダアトにとって何より重要な事でしたし、もしもの事を考えて妻もまた自ら動くことを切り出したのです・・・道中で何が起きたのかについては知りませんが、当然の事です」
「・・・そうですか」
今度はジェイドが値踏みをするかのように眼鏡に手をかけながら話してくるが、孔明が全くブレる事なく羽扇で口元を隠しながらそっと目を閉じる様子に当たり障りなく返す。
「・・・あの、失礼ですがどうして丞相はこちらに来たんですか?もしかして、六神将と同じようにイオンを連れていく為に・・・?」
「・・・重ね重ね申し上げますが、私は貴殿方が道中どのような災難に合われたのかというのは知りませんし、ましてや導師を連れ戻しに来たと言うわけではありません。私がこちらに来たのは別の目的があってのことです」
「別の目的・・・?」
更に次にガイからの疑問が向けられてきたが、さりげに敵ではない事を示しながら別の目的と言うと眉を寄せる。
「・・・アニス、貴女は私がどういった目的でこちらにまで来たのか見当はつきますか?」
「・・・イオン様が目的でないとするなら、ルーク様にティアの事でしょうか?丞相としての立場から考えて、自ら動かなければならない程の理由となるとダアト関連の事柄以外にはありません。ですがイオン様が理由でないとなれば、残るダアト関係者はティア・・・更に言うなら、そのティアに関係したルーク様の事しかないと思います」
「その通りですよ、アニス。その調子でこれからも精進してください」
「ありがとうございます、丞相・・・いえ、お父さん」
そこで孔明は黙っていたアニスに用向きの見当について聞くと、冷静に推測を語っていき正解と微笑を浮かべてアニスもまた丞相からお父さんと呼び名を改めながら頭を下げる。その様子をくのいちは微笑ましげな笑顔で見詰めている。
「・・・私達の事で、丞相が・・・?」
だがその理由と言われた当人であるティアは心当たりなどないとばかりに、心底からの疑問と言った表情を浮かべていた。











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