「・・・我々としてもこのような形でナタリア様の事実をナタリア様自身の行動もあって利用されるとは思ってはいませんでしたが、その事実を知った際には教団・・・もっと言うならば、預言保守派の闇というものを我々は共に感じました。その上で我々は行動を起こさんと決意したのです。このローレライ教団の体制を変えるべく動こうと」
「・・・それはつまり、丞相が教団のトップになろうということか？」
「いえ、あくまで丞相が目指したのは教団の体制の改善であって首魁となるような事ではありません。その上で徐々に情報であったり信頼出来る人物なりを集めて行動を起こそうとしていたのですが、事態は謡将が大詠師を欺くようにしながらも利用する形で動いてきたこととその動機によって大幅に変わることになったのです」
「っ・・・ヴァンの行動があったから、そちらも方針を変えざるを得なかったのか・・・」
「はい、そうなります」
そこからくのいちが当時の事を振り返りつつ動機についてを語る中でインゴベルトは野心が芽生えたのかとそちらも確かめるような声を向けるが、否定と共にヴァンが現れ行動してきた事が予想外であったと返すと複雑な表情を浮かべながら納得する。
「我々としては元々事を荒立てないようにしつつ動くことを念頭に置いていました。キムラスカにマルクトを巻き込むことの無いようにです。ですが謡将の行動はダアトだけでなくキムラスカも巻き込むばかりか、マルクトにケセドニアまでもを含んだオールドラント全体にまで影響を与えかねない物でした・・・重ねて言わせていただきますが、我々としても事態の解決に関して急がねばならないとの考えは当然持ってはいました。ただこれも先程も申し上げたように我々がただ考えなしに話をしたとしても受け入れられないだろう事に急いては事を仕損じるという言葉があることと、そして何よりもし第七の預言が本当の中身であった場合の責任をどのように取るのか・・・そう考えた時、どうしても慎重にならざるを得なかったのです」
「・・・むぅ・・・」
「陛下・・・」
その上でいかに自分達が考えて動いてきたかと理解せざるを得ないような話し方をするくのいちに、二人も流石に否定も楽観的な言葉も紡げずに顔を複雑そうに歪める。
「・・・む・・・ま、待て・・・もし戦争が起きることになってしまえば、預言通りになることになり・・・その預言の通りの結末になるのではないか・・・！？」
「はっ！？そ、それは・・・！？」
「その点につきましてはご安心を・・・このような話の流れになったからこそ申し上げますが、ルーク様一行に関してはこちらが保護をして尚且つ謡将達の手の者もまとめて捕らえてあります。故にアクゼリュスが超振動により消滅するような事はございません」
「・・・そこまで見越して行動をしていたというのか・・・」
「・・・ではあまりにもアクゼリュスが消滅したという報告が遅いと思ったのは、そちらの行動の為だったのか・・・」
するとそこでようやくといったようアクゼリュスについてを思い出すインゴベルトと公爵は顔色を一気に青くするが、くのいちが行動済みとここで返したことに心なしかホッとした様子になる。
「安心していただくのは構わないのですが、そのアクゼリュスの消滅の件に関しての二次被害と言うものに関しても謡将は自分の手の者以外に明かしていない事実があります。それは外殻大地を浮かせているアクゼリュス以外を支えるセフィロトとパッセージリングの耐久力に、アクゼリュスの消滅により酷い影響を与えるということです」
「何っ・・・！？」
だがそうやって緩む間など与えないとばかりに次の問題点を上げるくのいちに、二人はまた驚愕した。









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