「話を戻しますが、丞相はそれらのレポートを見て同様の考えを抱きました。ですがその考えを立証するにはあまりにも証拠が無いことから、ただ単にレポートの中身を焼き増ししたような発言をするだけではまた歴史の影に葬られる命が増えるだけ・・・それ故に丞相と私はローレライ教団の中で独自でいて、内密に行動をしてきました。第七の譜石に詠まれている預言は本当に繁栄が詠まれているのかという確固たる証拠を揃える為に・・・そしてそうしていく内に我々は謡将達が内密に行動を起こしていること及び、第七譜石の預言について口にしていた中身を知ったのです」
「そうなのか・・・」
「待ってもらおう！・・・そちらが預言の在り方について疑問を持った経緯とそれからの行動に関しては分かった。だが何故それならアッシュとルークの二人の入れ換えについてを止める事をしなかった？いや、止められなくともこちらに内密に情報を伝えることくらいは出来たはずだ」
「・・・そう言われてみれば、確かにそうだな・・・」
くのいちがその流れを孔明と引き継いだ上で行動を始めたとする話をしてインゴベルトが納得するが、公爵が対照的に何故すぐに行動しなかったのかといったように言葉を向けたことにこれまた納得した様子になる。
「お二方からすれば何を逃れるための言い訳に聞こえるでしょうが、当時の我々が行動しても事態が好転することはどう転んでも有り得なかったからです・・・この際ですのでハッキリ申し上げますが、国の繁栄の為に犠牲にすると考えられた上で信頼する師匠に助けられたアッシュがキムラスカと謡将のどちらを信用するか・・・誘拐された当時の事を思い返した上でお分かりになられますか？」
「「っ・・・！」」
「そう、アッシュは誘拐された時には既に謡将から預言についてを聞かされた後になります。その時にもし謡将の罪を挙げていった上で排除を出来たと仮定しても、当時のアッシュはまずキムラスカを信用しないどころか自分を助けてくれた謡将が死んでキムラスカに引き戻されていただろう未来に絶望し、心を砕かれる事態となっていた可能性は十分に有り得ます。そうなればまともに生きることはおろか、せめて一矢を報いようと自身の死を持ってキムラスカに反抗していた可能性もあるでしょう」
「「・・・！」」
だがそんな疑惑に対して段階を踏んで遠慮を失わせたくのいちはアッシュの事についてを詳しく話していくと、二人は反論が出来ずに息を飲むに留まる。言われたことに現実味を帯びている事もあって、否定を返せない為に。
「また、理由はこれだけではありません・・・もし我々が行動を起こしたと仮定した上で大詠師に報告するなり、謡将を捕縛するよう独断で動いたとしたなら十中八九我々のことを大詠師は見捨てるか謡将の口車に乗って我々の排斥にかかりかねなかったことにあります」
「っ、何故そう思った・・・流石にモースならそれらの報告を受けて、解決に動いたのではないか？」
「・・・我々も大詠師がそのように動く方だと確信していたならそうしていました。ですが教団の人間として接してきたことから、そうした場合に最も有り得たであろう可能性は我々に味方するのではなく、むしろ謡将の口車に乗って我々を排除してアッシュの身柄を確保していたという可能性です」
「何っ！？」
「その根拠に関してですが、アッシュが擁するその力と身代わりを立てれば預言通りになる・・・そう言われれば大詠師なら首を縦に振るというのは、先程の話から少なからず感じておられませんか？導師の時のように」
「導師・・・！」
更にモースに言わなかった理由に関してを述べていくくのいちに、また二人は反論が出来ずに複雑そうに表情を歪める。特に最後のイオンについてはレプリカの件もあって、身代わりを立てる事に抵抗感など持つ姿が見えないと言ったようにだ。









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