女忍、影に動く

「い、一体どういうことなのだ・・・ホドに第七譜石があったこと、そこでヴァンがその第七譜石を詠んだこと、そしてそうだと言うなら何故ヴァンはその中身を公表もせず、またホドにいたことも・・・」
「陛下、落ち着かれてください。まずは私が順序だててお話いたします。そうしてお聞きになられた方が陛下に公爵様も納得されるかと思われます」
「う、うむ・・・分かった・・・」
インゴベルトは観覧を隠しきれずに独り言を漏らしていき、くのいちが話を続けると丁寧に申し上げると助かったとばかりに公爵共々頷く。
「まず謡将が何故そのようなことを口にしたかについてですが、まずこれはリグレットを始めとした自分の息のかかった側近にのみ打ち明けているのです・・・と言ってもそのリグレットに何人かの側近は内密に我らの側についていましたが、そこは重要な点ではありません。重要なのはその第七譜石に詠まれた中身がどのような物かになりますが、お二方にはどのような中身であるかは予想はおつきになりますか?」
「中身・・・い、いや、世界の繁栄が詠まれているとしか思えぬが・・・」
「た、確かに・・・今までの預言もその為に詠まれた物である筈ですからね・・・」
くのいちが引き続いて話をする中で第七譜石の中身についての予測を問うと、二人はどうにも歯切れが悪そうにしつつ繁栄が詠まれているのではと口にする。決して預言の詳しい中身については避けようとするかのように。
「・・・ではその答えを申し上げる前にお聞きしますが、ユリアが詠んだとされる惑星預言・・・それが何故第七預言までしかないのか、と言うことについてお考えになられたことはありませんか?繁栄が詠まれ続けているというのであれば第七などとは言わずに何十何百と数の際限なく詠まれてもおかしくはないはずなのにです」
「・・・それは・・・その第七譜石の預言を達成すれば、後は無条件に繁栄が訪れるから・・・という答えではないのか?」
「それはあくまで一般的というより、惑星預言が第七までしかないことに関して希望を持つ者が抱く希望に願望といった考えの一つに過ぎません。実際に何故第七までしかないのかということに関してを考えてきた学者や歴代のローレライ教団の偉人の方達も、大方口を揃えて陛下と似たような結論を出しました・・・ですが謡将が第七譜石を詠んで得た結論に加え、丞相はその中身を聞いてむしろ納得されました。第七までしかない理由としては最も妥当な理由だと」
「な、何だと言うのだ・・・は、早く言ってくれ!」
くのいちはすぐに答えを出さずに意味深に話を続けるのだが、不穏な流れがするのもあいまってインゴベルトは痺れを切らして早く言うように催促する。



「ではお答えしますが端的に申し上げて第七譜石に詠まれた預言の中身は滅びが詠まれたものです。今陛下達がてぐすねを引いて待たれている預言通りの戦争を行いそしてキムラスカが勝ったとしたなら、より一層そうなる結果は避けられるものではなくなるでしょう。キムラスカが勝つことによりその預言通りになるのですから」



「「なっ!?」」
・・・そんな思いにくのいちは核心とも言える第七譜石の中身についてを淡々と口にしたばかりか、戦争を望んでいることまで知っているといった言葉に二人は何重にも衝撃を受けた。
「・・・今までその事について触れてこなかったことに関してはお詫び致します。ただ最初からその事を知っていたとお二方にお話ししていたら、このように耳を傾けていただけるような状態にまでなっていただけなかったであろうと思って敢えてこのようにお話をさせていただきました」
「そ、そこまでして話さなければならぬことがあるというのか・・・まだ・・・?」
「はい、むしろここからが本番になります」
くのいちは丁寧に話をしつつ頭を下げるがインゴベルトの不安げな様子にハッキリ告げる。まだまだ話は続くと。









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