女忍、影に動く

(ん~、予想はしていたけどやっぱりあっさりと通してくれたね~。とりあえずこれで第一関門突破ってことだけど、今のキムラスカの現状を考えればあんまり挑発的な事は言えないから慎重にいかないとね~・・・)
それで王の私室に向かう中でくのいちはどう行こうかと考える。インゴベルトを安全な方向に誘導させる為に。



・・・それで数分後に兵士に案内され、くのいちはインゴベルトの部屋に入った。
「・・・失礼します、陛下」
「む・・・その声は、丞相の妻だったか?」
「はっ。覚えていただいていて、光栄です」
部屋に入り頭を下げて挨拶をするくのいちの声に聞き覚えがあると反応するインゴベルトに、フードの部分をくのいちは外す。
「それは覚えてはいたが・・・して、何用か?その様子では丞相と共にここに来たわけではないようだが・・・」
「はっ。用向きは様々ありますが、まず一つは大詠師に関することにございます」
「っ・・・モース、だと・・・?」
インゴベルトは早速と怪訝な様子でここに内密で来た理由についてを聞くが、色々あるという中でモースの事を真っ先に挙げると一瞬の間と苦そうな表情をくのいちは見逃さなかった。
「・・・何か大詠師に問題でもありましたか?」
「い、いや・・・それでモースが何だと言うのだ?」
「はっ。現在丞相もこのバチカルに向かっている最中ですが、丞相が着いて話をした後に大詠師にダアトに至急お戻りいただくようにしたいのです・・・大詠師の査問のために」
「査問だと?・・・一体何が起きたというのだ?丞相がダアトに戻ってから、モースはずっとこのバチカルにいたのだぞ・・・?」
それで静かに反応を確かめるように問いを向けるとすぐに誤魔化すインゴベルトだが、くのいちが査問と不穏な響きを覗かせて口にした事に不安そうながらも先を促す。モースの事を聞かずにはいられないとばかりに。
「簡単に申し上げるなら大詠師としての資質を疑うような行動の数々を明るみに出すためです。そしてその中には謡将もまた、少なからず大詠師の行動に関わっています」
「何っ・・・ヴァンもだと・・・!?」
その答えに関してをハッキリとは明言を避けた上でヴァンまでもを引き合いにくのいちが出すと、インゴベルトは今度こそ表向きに動揺を露にした。
「はい・・・それでなのですが、出来るなら内密にファブレ公爵をこちらに呼んではいただけませんでしょうか?それも、大詠師に内密にという形でです」
「・・・モースに内密にと言うのは分からんでもないが、クリムゾンを呼ぶのは・・・その話に関係があるというのか?」
「はい、そうなります。そして出来る限りは公爵にもお聞かせしなければならないことであると考えましたので」
「・・・分かった、モースに秘密でクリムゾンを呼ぼう・・・こちらとしてもそちらの話を聞きたいからな・・・」
それで次にモースに秘密で公爵を呼ぶようにと願うように言うくのいちに、インゴベルトは重い様子で頷き部屋の外に向かう。少なからずモースに対する不審を感じさせるような言葉を口にしつつ。









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