女忍、影に動く
くのいち自身、そういった人物は腐るほどに見てきた。先祖が偉いんだぞといったようにハッキリ自慢する者もそうだが、同類項としてまとめる形でこの人物の配下にいるのだからその恩恵に預かる形で自分も偉い人間なのだというような輩は。
しかしそんな血統に所属する所だけで黒の物を白だと誰もが気を使い、そう言ってくれるかと言えばそんなことなどあるはずがない。むしろそういった強引なやり方をすれば周りからの反感に反発を招くのが普通なのだ。相手の立場であったりを気にせず決めてあったことを守らなかったりと、自分達に都合がいいように動けば動くほど尚更に。
繰り返すようだがティアはそんなことをしている自覚などないし、むしろ自分の行動は今となっては正しいものだったとヴァンの真意を聞けた事から信じて疑ってはいないだろう。だがそれは所詮個人の中の感情と考え方で完遂している上に他人から見た視点など全くないもので、くのいちや孔明達から散々言われたことなど何かがあれば忘却の彼方にすっ飛ばすばかりか言い訳すらする始末だ。自分は悪くないといったように、必要な事だったと。
・・・血統に文句を言うつもりはくのいちにはない。が、それに物を言わせた強引でいて個人の感情に任せた物言いがどれだけ愚かか・・・と言うのは重々に承知している。そしてそんな人物がいざ罰せられる立場に立たされた時、どういった事を言うのかも・・・それは・・・
「まぁ自分が本気で処断されるってなった時はそんなつもりじゃなかったと言うだろうけれど、本当にあがこうとした時に最後には口にするだろうね・・・自分はユリアの血族なのだから助けてほしいと」
「十分に有り得るでしょうね・・・謡将が起こしてきた行動によって裁かれたと知ったならなおのこと・・・」
それで処断するとした時のあがきの様子を想像するくのいちに、リグレットもまた疲れたように同意する。決して諦めないだろうと。
・・・そう、物語などではよく見られる自分がやんごとなき身分であったり血族であることを押し出してきての助命を願うこと・・・いや、人によっては命令にすらなるような事を言うというあがきである。
ティアは自分の価値を有用で有能であると疑ってはいないが、それでも自分の事を徹底的に否定された上ですがるものが無くなったとしたなら彼女は最後に潔くその結果を受け止める・・・なんてことはなく、それこそみっともなくあがくだろう。自分はユリアの子孫なのだからと、大きな声を上げて助けるように求める形でだ。
・・・ティアにとって大きなウェイトを占める存在は兄であるヴァンもそうだが、そんなヴァンという誇れる人物と共にユリアの血族であるというオールドラントの人間なら誰もが知る偉人の血を引いている・・・その自負が兄の所業に正体といった姿を見てもそれが信じられないといった気持ちに繋がり、自分の価値までもを高めていると心の何処かで無意識に感じている。だからこそ叫ぶだろう。自らは助かるべきだと。
だが孔明達がそんな血族のみで起こした行動を許すようなことなどするはずがない・・・
「まぁユリアの血族だからとかで今までのことを旦那様が許すはずがないし、それに万が一自分の事で何か嫌な予感でもして逃げたとしても・・・私がどうにかするけれどね♪」
「っ・・・その時は是非そうしてください。中途半端に優しくするよりそうした方が却ってティア自身にもですが、周囲の為になるでしょうからね・・・」
「勿論そうさせてもらうよ~♪」
そんな中で楽し気に口を開くくのいちだが、リグレットは冷や汗を浮かべんばかりの様子で言葉を送る。もしティアがどんな行動を起こしても孔明はどう考えるかはともかくとしても、自分は許しはしない・・・闇を感じさせる明るい声という矛盾をはらんだくのいちの様子が、どれだけティアに対して本気で行動に起こすのかを少なからず感じてしまったが為に。
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しかしそんな血統に所属する所だけで黒の物を白だと誰もが気を使い、そう言ってくれるかと言えばそんなことなどあるはずがない。むしろそういった強引なやり方をすれば周りからの反感に反発を招くのが普通なのだ。相手の立場であったりを気にせず決めてあったことを守らなかったりと、自分達に都合がいいように動けば動くほど尚更に。
繰り返すようだがティアはそんなことをしている自覚などないし、むしろ自分の行動は今となっては正しいものだったとヴァンの真意を聞けた事から信じて疑ってはいないだろう。だがそれは所詮個人の中の感情と考え方で完遂している上に他人から見た視点など全くないもので、くのいちや孔明達から散々言われたことなど何かがあれば忘却の彼方にすっ飛ばすばかりか言い訳すらする始末だ。自分は悪くないといったように、必要な事だったと。
・・・血統に文句を言うつもりはくのいちにはない。が、それに物を言わせた強引でいて個人の感情に任せた物言いがどれだけ愚かか・・・と言うのは重々に承知している。そしてそんな人物がいざ罰せられる立場に立たされた時、どういった事を言うのかも・・・それは・・・
「まぁ自分が本気で処断されるってなった時はそんなつもりじゃなかったと言うだろうけれど、本当にあがこうとした時に最後には口にするだろうね・・・自分はユリアの血族なのだから助けてほしいと」
「十分に有り得るでしょうね・・・謡将が起こしてきた行動によって裁かれたと知ったならなおのこと・・・」
それで処断するとした時のあがきの様子を想像するくのいちに、リグレットもまた疲れたように同意する。決して諦めないだろうと。
・・・そう、物語などではよく見られる自分がやんごとなき身分であったり血族であることを押し出してきての助命を願うこと・・・いや、人によっては命令にすらなるような事を言うというあがきである。
ティアは自分の価値を有用で有能であると疑ってはいないが、それでも自分の事を徹底的に否定された上ですがるものが無くなったとしたなら彼女は最後に潔くその結果を受け止める・・・なんてことはなく、それこそみっともなくあがくだろう。自分はユリアの子孫なのだからと、大きな声を上げて助けるように求める形でだ。
・・・ティアにとって大きなウェイトを占める存在は兄であるヴァンもそうだが、そんなヴァンという誇れる人物と共にユリアの血族であるというオールドラントの人間なら誰もが知る偉人の血を引いている・・・その自負が兄の所業に正体といった姿を見てもそれが信じられないといった気持ちに繋がり、自分の価値までもを高めていると心の何処かで無意識に感じている。だからこそ叫ぶだろう。自らは助かるべきだと。
だが孔明達がそんな血族のみで起こした行動を許すようなことなどするはずがない・・・
「まぁユリアの血族だからとかで今までのことを旦那様が許すはずがないし、それに万が一自分の事で何か嫌な予感でもして逃げたとしても・・・私がどうにかするけれどね♪」
「っ・・・その時は是非そうしてください。中途半端に優しくするよりそうした方が却ってティア自身にもですが、周囲の為になるでしょうからね・・・」
「勿論そうさせてもらうよ~♪」
そんな中で楽し気に口を開くくのいちだが、リグレットは冷や汗を浮かべんばかりの様子で言葉を送る。もしティアがどんな行動を起こしても孔明はどう考えるかはともかくとしても、自分は許しはしない・・・闇を感じさせる明るい声という矛盾をはらんだくのいちの様子が、どれだけティアに対して本気で行動に起こすのかを少なからず感じてしまったが為に。
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