・・・ヴァン達との対峙に捕縛も無事に終えた孔明達。そして兵達を全員収用し終えた一行は次なる目的地、バチカルの方へと船を進める。



「・・・ん、あれは・・・」
そんな船の上で孔明に護衛はシンクに頼むからと休憩をするように言われ、船内を歩いていたくのいちは船の先の甲板にある二人の姿を確認して立ち止まる。
「・・・教官・・・」
「・・・話は終わりか？ならまた何か話したいことがあるなら時間が取れる内にしてくれ。バチカルでモース達との対峙が終わりダアトに戻った後は時間は取れないからな」
「・・・分かりました、失礼します」
その二人とはティアとリグレットの二人なのだが、既に肝心な部分は話終わっていたのかティアが辛そうな表情を浮かべながらリグレットの元を後にしていく。
「・・・何を話してたの、ティアと？」
「これは奥方・・・見ていたのですか？」
「たまたま歩いていたら二人が別れる姿が見えただけだから話は聞いてないし、ティアは反対側に行ったから顔は合わせてないよ」
「成程、偶然ですか・・・」
それで一人残っていたリグレットの元に行き話しかけるくのいちに、タメ息を吐きそうな様子でリグレットは納得する。
「・・・何か疲れてるというか、あまりいい話じゃ無かったんだね。多分謡将をあんな捕まえ方したことにだったり、謡将に対して見せていたリグレットの気持ちが嘘だったのかとかそういったことを問い詰められてたの？」
「・・・その通りですが、そこに付け加えて言うならもう一つ・・・あの場で丞相の処罰について言い渡されたことに関して、口添えをしてくれないかと言ってきたのです」
「口添え？あぁ、言い方は悪いけど謡将の危険性が分かったんだし自分には悪気はなかったんだからどうにか無罪にしてくださいとでも言ってきたってこと？」
「・・・その通りです」
くのいちはそうなる理由を推測するがまだあると告げた言葉にその中身をまたすぐに推測し、リグレットは疲れを心底から絞り出すように頷く。
「正直、あそこまでティアが自分本意と言うか自分の行動を軽く見ているとは思いませんでした・・・丞相から見ればいかなように自分の行動が映るかを聞かされたと言うのに、それを尚も私の立場に温情を持って許してもらおうなどとするとは・・・」
「ちなみにどう彼女に対して答えたの？」
「・・・本音を言うのでしたら甘ったれた事を言うなと説教したかったです。ですがそうしてしまえば丞相の策を無駄にしてしまうことにもなるでしょうが、何よりティアはそれでも変わらないと思ったのです・・・言葉を厳しく用いたとしたら、言うことを聞くようになる前のように私の言葉を聞かなくなるでしょうから」
「あぁ、その時の事は聞いてるけれど多分そうなるだろうな～。ティアの性格上信用出来るか出来ないかもそうだけど、自分の言うことを聞いてくれるかどうかってのが染み付いてるだろうしね～。それでリグレットを頼れないっていうなら別の人って事になるんだろうけど・・・まぁ今の状況じゃ頼れる人がいないんだけどね。ティアにとって都合よく頼れる人なんて。そうなったら最悪旦那様かイオンにどうにかって陳情をしつこく願ってくるだろうし・・・本当によく我慢してくれたよ、リグレット」
「すみません、今はその言葉が素直に嬉しく思います・・・」
そのままティアに対する懸念及び私心を抑えることに考えをいかせたと返すリグレットに労いの言葉をかけると、力なく頭を下げて返してくる。本当に苦心している事がまじまじと分かるように。









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