軍師と女忍、対峙する

「・・・じゃあアリエッタ、お前は何でだ?お前はヴァンの事を好きだったんじゃねぇのか?」
「・・・謡将の事は嫌いではない、です。でも丞相の方がアリエッタはずっと好き、です」
「は?・・・表向きお前と丞相の間で何か関係があった姿なんか俺は見たことがねぇぞ
・・・」
「それは当然ですよ、あまり人目につかないようにと接触してきたのですから。と言ってもアリエッタは私の方が好きだとおっしゃってはくれますが、流石に妻とどちらかと言われれば彼女に軍配が上がるでしょうね」
「・・・どういうことだ・・・?」
次にアッシュはアリエッタにどういうことかと聞いて比較をして孔明の方が好きと返ってきたことに疑問を口にするが、言われた当人からくのいちの方が好かれているだろうと言われて更に謎だと困惑を浮かべる。
「そっから先は私が簡単に説明するけど、要は被験者の導師が亡くなる前に旦那様と話をした結果としてアリエッタにこっちに付いてもらうようにしてもらったんだよ。被験者からそうする引き換えに頼まれた事として、アリエッタの教育及び後見人を私達が務めるって形でね」
「っ、まさかアリエッタは被験者が死んでいた事を知っていたのか・・・?」
そこでくのいちが孔明に変わり自分達が話をしたからと言うと、アッシュは心底から意外そうな表情を浮かべる・・・アッシュの知るアリエッタでは被験者のイオンが死んだという事実を前にしたなら、どういう形であれそれを黙っていられるなどとは思わなかった為に。
「・・・最初、イオン様から話を聞かされた時は本当に辛かった、です・・・イオン様がもうすぐ死ぬって聞かされて・・・でもイオン様に丞相達が言った、です。謡将はアリエッタの事を考えてその事を言わないつもりでいるけど、それを利用して謡将は何もアリエッタに知らせないままで自分の野望の為にアリエッタを巻き込むつもりでいるって・・・」
「この辺りに関しては私達が被験者の導師に謡将が影で行っていること及び、アリエッタの扱いがどういったものになるかに私達の目指す先についてを交えて話をしたら被験者の導師は話をするって決めたんだよ。最初はヴァンが預かってくれるなら安心だと思っていたが、言うべきことも何も言わずに事を進めてアリエッタを引き返せない場所に連れていくのは流石に自分の本意じゃない・・・ってね」
「だからイオン様はアリエッタに自分が死ぬことを教えて、死んでいった、です・・・その事を知ってるってバレないようにって、謡将じゃなくて秘密で丞相に従うようにするようにって言ってから・・・」
「それで旦那様は謡将率いる神託の盾の方にあまり近付くと不審に思われるから、私が陰ながらリグレット達も交えた上でアリエッタにシンク達の教育だったり色々やっていったんだよ」
「・・・それで、アリエッタもヴァンと敵対する事を選んだというわけか・・・」
アリエッタはそこで過去の事を思い出し悲し気な様子で被験者のイオンについてを語っていき、くのいちの補足も交えての経緯を聞いてアッシュは何とも言いがたそうに表情を変える。その話の中身にどう反応していいか分からないと言ったように。









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