「・・・少し聞いてもよろしいですか、丞相？」
「どうしましたか、フリングス少将？」
そこで次にフリングスが神妙に声をかけてきたことに孔明はルークから視線を外して何事かと問う。
「その、アッシュについてですが・・・丞相はリグレットなどを介して彼と接触し、最初から味方として引き入れ考え方を変えることについてを考えなかったのですか？丞相の立場に味方が誰であるかを考えれば、全く出来ない訳ではないと思ったのですが・・・」
「成程、そこについてですか」
そこでフリングスが出した疑問は何故アッシュの事を引き込まなかったのかについてで、孔明は納得したように頷く。
「・・・確かにお言葉通り、アッシュを味方に引き入れることは出来なかった訳ではないとは思います。ですが引き入れるにしても当時は成功する確率もそうですが、後で裏切られかねないことに彼が演技を出来るような人物に思えなかったこと・・・そして何より次第に神託の盾の中で見せていった態度から引き入れることを止めようと決めたのです」
「・・・神託の盾の中で見せていた態度とは？」
「二つ上げさせていただくなら神託の盾として謡将により下された命令を不満がありそうとはいえこなしていく姿であったり、他の六神将を含む面々に対して全く表向きにも友好的に接してこなかった姿です・・・ここで自分がキムラスカの王族であることだったり不安辺りを口にしていたなら、まだこちらもいずれはキムラスカに戻すことを提案であったりリグレット達に接触をしてもらおうかと考えたのでしょうが、頑なな態度で神託の盾にいる間そういった態度を取らずにいた事から接触するだけでも危険性は高いと見たのです。神託の盾にいるということ自体は不服そうだがあくまでそれは身分や立ち位置に不満を感じているだけであって、謡将に揺るぎない忠誠心ないし信頼を向けていたならこちらの行動が全て無駄になりかねない・・・そういった危険性がね」
「成程・・・神託の盾にいた頃の態度ではアッシュの真意が分からなかったからですか・・・」
孔明はそこから神託の盾の時のアッシュの態度からいかな可能性があったかに感じたかを詳しく話していき、フリングスはその中身に頷く。アッシュの事を大丈夫と判断するには確かに早計だといったように。
「ただ・・・そんなアッシュ今こちらにいる、それはまだいいでしょう。ですが今までの経緯があるからとは分かってはいますが、この場に残ろうともせずさっさと離れてしまったことは流石にどうかと思うのですが・・・」
「・・・そうですね。そこに関しては少将と同じ意見です。ただアッシュからすれば単純に我々、もっと言うならルークと場を共にしたくないからというだけの事なのでしょう。そこに深い考えがあるかどうかなどアッシュは微塵も考えていないでしょうね。先程話した話がされるようなことなど想像だにしない形でね」
「それはまだいいにしても、それこそ先程丞相が申し上げたように謡将に話の流れなど気にすることなく突撃する・・・と言った展開になることも考えられるのではないのですか？そうなれば丞相の策も台無しになるかと思うのですが・・・」
「ふむ、そこは最もな疑問ですね」
ただそれでもアッシュについてをまだ消化しきれてない部分があるといったように話を続けるフリングスに、孔明は同意しつつも疑問は最もと返す。アッシュなら突撃も有り得ると。









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