軍師と女忍、対峙する

「どちらにせよこちらは武力を持っての制圧は望んでいないとは再度申し上げさせていただきますが、元々ユリアシティはその場の性質上第七音素術士くらいはいても神託の盾の一人もいない場所です。無理に武力を持って我々を襲うことはまず有り得ないでしょうから、気にしなくても構いませんよ」
「そう、でしたね・・・それなら大丈夫ですね・・・」
ただ孔明が兵力自体がないユリアシティが手を出してくる可能性はないだろうと言うと、途端にティアはホッとする。
「・・・なぁ。今の流れの後だと聞きにくい部分はあるけど、ユリアシティの奴らって話をするだけで納得してくれるもんなのか?何となくモースとかに指示を出してた大本だって思うと、そんなすんなりいくとは思えねぇんだけどよ・・・」
「ルーク、貴方なんてこと言うの!?お爺様達がそんなに聞き分けがない訳がないのは、私がよく知ってるわ!」
「いいえ、その点に関しましてはルークの疑問の方が正しいでしょう」
「っ!?」
そこに何とも言いがたそうに疑問を口にしたルークにティアが聞き捨てならないと声を上げるが、孔明がそれは正しいと言ったことに衝撃を受けて思わず静止した。
「ティア。貴女がユリアシティの市長であるテオドーロ氏の孫であることは知っています。ですがその孫である貴女が市長本人とは言わずとも、先のアクゼリュスに代表されるような預言の中身をユリアシティの住民から聞いてはいないでしょう。そうでなければ貴女はこうやってここにいるわけはないのですから」
「そ、それが何なんですか・・・?」
「・・・分からないのでしたら教えてさしあげますが、アクゼリュスの預言のような重要な預言はユリアシティの住民の中でも限られた面々・・・もしくは大詠師のような預言を実行する存在にしか教えていないと言うことです。下手な人物に教えたことで預言を達成する前にその預言が露見し、それが達成出来ないような状況になるのを避けるために」
「っ!?・・・で、では私は・・・その下手な人間に、入ると言うのですか・・・!?」
「そうでなければ貴女は事実を知っていたでしょうが、その場合は貴女はこういった形でここにいないでしょうね」
「え・・・こういった形でって・・・?」
「・・・ふぅ・・・」
孔明はそこからユリアシティがどんな風に考えた上で預言を身内に知らせているのかを話していくが、全く理解していないと言うより身内を疑うことを放棄して考えてない様子のティアに羽扇で口元を隠し、そっとタメ息を吐く。
「・・・もし事実を貴女が知らされる時が来たというなら、それは貴女がユリアシティの住民の役割を果たせる人間だと認められた時だからです・・・預言の中身がアクゼリュスの崩壊が詠まれていようがキムラスカとマルクトの戦争が詠まれていようが、その預言を実行することが正しいか否か・・・そう考えることすらなくただ預言の実行こそが唯一無二の物と思う状態の時だったでしょう。それこそ預言により失われる命は預言達成の為の物と考えるくらいの感じにです」
「なっ・・・!?」
「そんなことは考えていなかったと言った様子ですが、そもそもそれくらいの考えが無ければ今までのユリアシティの代表者達が預言の達成の為に行動など出来ないという事・・・そういったことを全く考えていなかったのか、それとも市長は悩み苦しみもがきながら預言を達成させる為に動いていると考えていたのか・・・どちらですか?」
「そ、それは・・・その・・・」
それで羽扇をどけてどのような思考回路であれば事実を聞かされていたかに加えて代表者達の考え方について考えたことがあるかを問う孔明に、ティアは視線をさ迷わせる。答えが見つからないとはっきり分かるほど、力ない様子で。









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