軍師と女忍、合流する

「まぁアッシュにはそうでも言っておけば問題はないでしょうね~。後はナタリア様がどういった反応を示すかもそうですけど、その場合の不安としてはやっぱりケセドニアまで来た際の行動力がまずい方向に発揮されないようにしないといけないでしょうけど・・・」
「その点に関しては我々がキムラスカに向かった際の場で顔を出すことが無いよう、貴女に一働きしていただきますよ」
「えっ?私にですか?」
くのいちはその流れからナタリアについての不安を口にするが、孔明が働いてもらうと言ったことにキョトンと意外そうに目を瞬かせる。
「確かにケセドニアにまで来て同道をさせろといった行動力に気持ちは厄介と言えますが、それでも貴女の言葉を聞いてバチカルに戻るくらいにはまだ王女という立場にいる自覚はまだあるのでしょう。とは言えそれもナタリア様独特の感覚ではあると思いますが・・・それでも今のナタリア様であれば、キムラスカの上層部に独断専行の半ば反旗を翻すような行動は迂闊には取ろうとは考えはしないでしょう。そしてそこを利用すれば、ナタリア様が我々とキムラスカ上層部との対峙の際に顔を出されると言った場面になることは避けられるでしょう」
「ははぁ~ん・・・成程、先に私がバチカルに行ってナタリア様が出てこないようにしてほしいと事前にお願いしに行くって訳ですか」
「そうなりますが、勿論それだけではありません。貴女にはモースに見つからずにいて知られないよう、それでいてアッシュのことをインゴベルト陛下・・・可能ならファブレ公爵の二人だけに話をしてきてください」
「それは、モースに先んじるためですか?」
「えぇ。まず間違いなく手紙の類いを送りアッシュのことを始めとした事実を知らせたとしても、モースのことですから口八丁の出任せな事を次々に言って嘘だなんだと強調するでしょう。そしてその上で我々を反逆者だと断定してキムラスカの軍をけしかけてくるのは容易に想像がつきます・・・そうなれば貴女に三人を片付けてもらう以外に手早い終戦及び和睦は迎えられなくなります」
「・・・確かに暗殺なら私が行動すればどうとでもなるでしょうけど、あくまでそれは最終手段・・・ですよね?」
「はい。このオールドラントでも陰謀からの暗殺であったり身内同士での骨肉の争いも歴史の中で綴られてこそいますが、だからと言ってこの時期に国の顔役とも言える三人が揃って死んだとなれば、例えその時には渋々和平を受けたとしても後々の禍根になることは確実です。犯人は我々だと見られるのは避けられませんし、ナタリア様の気性に貴族に臣下からの言葉が後押しされれば・・・アッシュが戻ってきたとしてもというより、むしろ下手をすればアッシュまでもがこちらに反意を見せかねません。元々彼は我々に対して良からぬ感情を持っていますし、ナタリア様の勢いに負けることも十分に考えられますからね」
「そういった流れにしないためにも私が行動するんですね」
「はい。色々と危険ではありますが、我々がバチカルに着く前に頼まれてくれますか?」
「はい、勿論!この程度ならお茶の子さいさいですよ~!」
その上でその頼みごとにいかな意図があるかをプラスアルファして話をしていく孔明に、くのいちは納得して笑顔で首を振って返す。これからの流れとして重要になることを任されたからこそ、それを失敗させる訳にはいかないという気負いを微塵も感じさせないように。









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