軍師と女忍、合流する

「ナタリア様に対する気持ちがあると確定とは言えないとしても、アッシュの受けた仕打ちを考えれば何かキムラスカにそれでもすがりたいと思える材料があるならナタリア様かシュザンヌ夫人くらいでしょう。アッシュを利用しようとしたり裏を持って接するような事がないような人物は」
「まぁ夫人は元々から体調の悪い方のようですから、王族や貴族としての普通の感性を持ってたら逆に身が持たないでしょうしね。それを考えれば貴族の親としては破格な優しさを持っているから、アッシュが心残りを持っていても不思議ではないとは思いますが・・・シュザンヌ夫人はナタリア様より優先順位は低いでしょうね。母親であるとは言ってもシュザンヌ夫人は王族である以上は命令が出されれば、息子の命を見捨てる事になる命令も受けなきゃならないこともあるでしょうし」
「えぇ、夫人も王族ですからね。そう考えればアッシュからしてみれば自分に絶対味方をしてくれそうという意味ではナタリア様より、シュザンヌ夫人の方が生きてきた経験もあってまだ割り切った考えになるでしょう」
孔明はナタリアにだけでなくシュザンヌという母親についてもキムラスカに対する気持ちが残る要因になりうる人物についても発言するが、くのいちがナタリア程ではないとする言葉に同意する。シュザンヌとナタリアの二人ならまだシュザンヌの方が割り切った考えは出来るだろうと。
「そういったことを踏まえれば、やはりアッシュに関しての鍵を握るのはナタリア様が最も可能性が高いでしょう。となればやはりキムラスカでアッシュとルークについてを話す上でナタリア様にも事実を知っていただくことになるのでしょうが、貴女の読みにルークの感覚からするとナタリア様はアッシュを選ぶ可能性が非常に高いということですが・・・」
「そうですね~。ナタリア様が求めているのは記憶を持った『ルーク』であって、ルーク自身を見た上で好意を向けてるとは特に感じませんでしたし・・・もしナタリア様がアッシュではなくルークを選ぶとしたなら完膚なきまでにアッシュから拒絶されてフラれるなんて展開があってからででもなければ、余程じゃないとルーク自身を約束だとか記憶の有無だとかなく意識出来ないと思いますね。ただアッシュがナタリア様と向き合ってくれるかもそうですが、それ以前にキムラスカがどのような考えを持つかによって決まる部分がありますからね。この問題は」
「あぁ、キムラスカが戦争しないって旦那様の話を聞いた後の事ですね」
その上でナタリアが主軸になるといったように話が進んでいくが、孔明がキムラスカの考えも重要とするといった言葉にくのいちも理解していると言ったようすんなり流れを続ける。
「単純な話として十中八九、キムラスカがルークとアッシュのどちらかだけを選ぶとしたならまずアッシュを選ぶでしょう。ルークの生きてきた経験に知識はアッシュと比べると単純に見て十年分の差がありますし、本物と偽物ならどちらを選ぶかとなればまず本物です。そこはまずキムラスカが重点的に見るところでしょう」
「ただそうやって偽物はいらないから本物のお前は戻ってこいなんて言っても、アッシュはまずすんなり頷くことは無いでしょうね~。今までの事を考えると」
「えぇ。それでナタリア様の説得に全く心が揺るがないようでしたらキムラスカもアッシュを引き戻す事を諦め、ルークを仕方無いとまた『ルーク』として戻すようにするでしょうが・・・まずアッシュの様子を見る限りではそれを黙って許すなんて有り得ないでしょうね」
「あぁまでルークの存在を認めてないことを考えるとそうなるだろうっていうのは分かるんですけど・・・面倒ですよね~、本当に。アッシュの考えって滅茶苦茶で支離滅裂で狙いがなんなのか、今でもさっぱり分かんないですし」
「・・・それについては同意しますよ」
それで話の流れがキムラスカの考えるだろうことにアッシュの選択するだろうことに行くが、くのいちの疲れきった様子の言葉に孔明も珍しく疲れを滲ませたように同意する。









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