軍師と女忍、合流する

「それで、少将の他に何か変わったことはありますか?」
「う~ん、変わったって言えることは・・・逆にこっちから聞きたいんですけど、アッシュとルークに関してはどうするつもりでいますか?手紙に書いたようにルークはまだいいにしても、このままだとアッシュもそうですけど何よりもナタリア様に二人の事実が明らかになった時、最悪な流れになりかねない可能性があるんですけど・・・」
「その事がありましたね・・・」
孔明はフリングスが一段落した為に次に何かあるかと聞くが、くのいちからルーク達の事について聞かれて口元を羽扇で隠す。
「・・・そちらに関しては二人だけではなくナタリア様も関わってきますし、キムラスカがどのようにしたいと考えるかが重要になりますが・・・まずはアッシュの真意というか、キムラスカやナタリア様に対しての心残りがいかなものであるかを知ることが先でしょうね。それを正確に把握しなければ下手をするとアッシュが意地を優先してヘソを曲げ、全員が望まぬ状況に陥る可能性が出てきますからね」
「あ~、やっぱり旦那様もそう考えますか~。それでアッシュに話をしてどれだけキムラスカに対して心残りがあるかを計る必要がある、と」
「更に言うなら、同時に彼がキムラスカに戻れないと感じていることに戻りたくないと感じている気持ちがどれくらいの物なのかを知る必要があります・・・リグレットに謡将の考えを探らせるためにかつてアッシュのことは逃げ出したりしないか大丈夫かという質問をさせたことがありますが、預言の中身にキムラスカが従う心積もりがあることに加えてベルケンドで受けた仕打ちについてを吹き込んだから大丈夫だ・・・と言った事を思い出しました」
「あ~、確かにその件が尾を引いてるならアッシュは進んで帰りたがりはしないですよね~」
そして羽扇を外してアッシュの真意を知ることに加えて前に聞いた話を引き合いに出す孔明に、くのいちは納得したよううんうんと頷く。



・・・ベルケンドでアッシュが受けた仕打ち。これは孔明はハッキリ何かとは今は口にはしなかったが、アッシュの特殊な体を調査することに加えて実験をするという物だ。キムラスカとしては預言の事があるからこそ、是非ともアッシュのいるうちにその特異性を研究して何か国の為になる成果を上げたかったのだろうが・・・リグレットからの又聞き話程度にしか聞いてない当時の孔明達でも分かった。アッシュがキムラスカに帰ろうとせずにヴァンの元にいると選択するだけの過酷な物であったことは。

まだ歳が二桁にも行っていない子どもがそんな環境に突っ込まれ、あまつさえ自分の気持ちを無視されて嫌な思いをさせられる。しかもそれが自分の親が命令の大本だとしたなら・・・子ども心ながらに親に対する不信感に猜疑心などが抱くのは当然であるだろうし、もっと未来の話として自分が死を望まれているとその親から考えられていると知ったなら・・・それこそアッシュがキムラスカから離れたいと思うのは普通に考えれば当然と言えるし、むしろ二度と足を踏み入れたくない国だという認識になってしまうだろう。

だがそこまでの仕打ちを受けて尚、アッシュにはまだキムラスカに対する気持ちが残っているという事実がある。ヴァンに対する不信を抱いたからというのもあってもだ。その訳とは何か、というと・・・



「ですがそれでも尚キムラスカに対しての未練があるのは愛国心というのも否定は出来ませんが、今のところ一番に考えられる理由としてはナタリア様の存在があるから・・・でしょうね、やはり」
「そうなりますよね~。ナタリア様の性格とか考えを聞く限りじゃ権謀術数とかを考えるような人じゃないでしょうから、その人柄とかが昔から変わらないっていうなら信じたいのかもしれませんしね~」
ただここで孔明が切り返しにナタリアの名を出したことに、くのいちもだろうとすぐに返す。アッシュの頼りはナタリアが一番にあるからだろうと。









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