軍師と女忍、合流する

「それでは向かうと言うなら早速向かいましょう。詳しい話はまた船の上でと言うことにする形でです」
「そうですね・・・では参りましょうか、皆さん」
そんな空気の中で早速と船に乗ることを提案する孔明にジェイドも同意し、他の面々も反対せず部屋を後にしていく。









・・・それでキムラスカ側にあまり見られることのないよう隠れるように船場に孔明達は向かい、船に乗り人員が乗り込むまで待つことになった。
「さて・・・本来でしたらこのまま先程の話の続きとそちらは参りたいのではと思いますが、少々二人で妻と話をさせていただいてよろしいですか?」
「二人で、ですか?」
甲板の上で船室に向かう階段を降りるかと思いきや、 孔明がくのいちと二人の状況で話をしたいと言い出しジェイドが何故かといった視線を向ける。
「・・・妻と話したいことがあるのですよ。これまでの経緯を手紙越しではなく彼女自身の口から」
「・・・ふむ、まぁいいでしょう。船が出航してからでよろしいですか、フリングス少将?」
「えぇ、こちらもそれで構いませんよ」
そこで孔明は羽扇で口元及び視線をある方向に向けて隠しつつ話し、ジェイドはその様子に素直に答えた上でフリングスに話題を振ればこちらも同意が返ってくる。
「ではしばらく私と妻は話をさせていただきます。話が終わりましたらそちらに向かいますので、ゆっくり休憩されていてください」
話がまとまった所で後で向かうと残し、孔明は先に船室の方へとくのいちと共に向かう。



「・・・さて、リグレット達に話を聞くのは後にして報告をお願いします・・・特にティアに関してを」
「あぁ~、やっぱりそこが気になりますかぁ~」
「大方の予想はついていますが、それでも一応の確認はさせてください」
それで船室に入った孔明は早速と話題をティアのことへ移すように言い、気楽そうに後ろ手を頭の上で組むくのいちに念のためと告げる。
「ん~、旦那様なら手紙の内容から後の事は想像出来てると思うんですけど、理屈詰めで一旦反論の余地もないように追い込んだはいいものの、いざ連れていかないっていう流れの時にそれでも付いていきたいって気持ちだけで強くごねた物だから、ピオニー陛下がもう預かる事は出来ないって拒否をされたんです。どうせこの様子だと抜け出して付いていくなり追いかけていくなりするだろうからって」
「・・・ピオニー陛下の予想は当たっていたでしょうね。ティアの様子は見ましたが、私に対して何らかの希望を抱いているような表情をしていました。察するにあれは私が彼女のことを支援する、もしくはしてくれると期待・・・いえ、確定しているといったように」
「それって、ティアは旦那様なら自分の事を分かってくれるって期待してってことですか?」
「えぇ。今の自分なら大丈夫だ、だから丞相なら自分の気持ちを知れば理解してくれる・・・そう思っているのでしょう。ですが今のティアの状態は言うなれば少しつつけば瓦解する壁を直そうともしないどころか目を反らし、その壁の上に高いやる気の壁を立てたからこの壁は誰にも崩せないから大丈夫・・・そういったようなものです」
「つつけば壊れる壁・・・言い得て妙っすね。普通なら張り子の虎に虎の威を借る狐が妥当な所って思うけど、実際にティアって自分の悪いところと言うか見たくない部分は見ないようにして、それで別の事をしてればもうそれは関係無いかもしくは克服した・・・なんて考えるタチだけど、そこを突かれればまた似たような事になるなんて一切考えてないし」
「えぇ。そんな少しつつけば瓦解するような方を信頼するなんて有り得ませんし、以後重用するなどもっての他です。彼女が以後その悪癖を直すとは到底考えられませんからね」
「まぁそうなりますよね~」
くのいちはそこから簡潔ながらも当時の流れについてを説明し、孔明が例えを持った上でキッパリと言い切ったことに笑顔を浮かべる・・・改めて孔明がティアを信じるつもりが無いことを確認して。









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