軍師と女忍、合流する

「さ、ティア。答えて?今の問いに対してどんな考えを貴女が持ったのかを」
「そ、それは・・・その・・・」
それで答えの一向に出てこない様子にあくまで優しく声をかけて答えを求めるくのいちだが、ティアはまだどう答える事も出来ずに視線をさ迷わせる。
「・・・それくらいでいいんじゃないのか?もうこれ以上つついてもどうにもならなそうだが、何よりティアにかける時間が勿体無い・・・こちらにとってもだが、そちらにとってもそうだろう」
「・・・そうですね。それじゃあティア、ここでお別れしよっか」
「ま、待って「待たないよ」・・・っ!」
ピオニーがそこにもうティアの為に時間を使う必要はないだろうと見切りをつけるように言ってきた為、くのいちが終わりを告げようとしてティアが制止を求めようとしたが瞬時に拒否を返し言葉を失わせる。
「聞いたでしょ?陛下ももうこれ以上時間をかけることを望まれてないし、その理由である貴女が結論も出さずに結論が出るまで待ってほしいなんて都合が良すぎる。もう貴女の為にこれ以上時間を使えない・・・だからもうおしまい。後はこのグランコクマで全部終わるまでお世話になっね」
「っ!お、お願いします!私を連れていってください!私でなければならない理由はないとしても、私は行きたいんです!兄を止めに!」
「・・・質問にまともに答えられないのに、主張ばかりは通そうってねぇ・・・」
そしてまとめとして連れていかないと言ったのだが、そこですぐさま勢いを取り戻して叫ぶティアにくのいちはうんざりとしたという響きを盛大に滲ませながら漏らす。
「・・・話の途中ですまんが、もうティアは連れていってくれ。そちらの要望に気持ちとしてはティアをこっちが預かってくれるとありがたいんだろうが、今の様子じゃこっちに居させようとした所で抜け出してそっちに無理矢理合流しようとする可能性すらあるように思えた。そんな人物を拘束してまで預かる義理はないし、そちらもヴァンやモースなどとの対峙の際にいきなり乱入されて良くない意味で場の空気が変わるなど避けたい筈だ」
「・・・分かりました、ピオニー陛下。これ以上そちらに迷惑をかけるわけにもまいりませんのでそうさせていただきます」
「・・・っ!」
そのうんざりとしたという空気が伝染してか、くのいちは関係無く自身で心底うんざりしたか・・・ピオニーが訳こそ言いつつも要はもう預からないとキッパリ言い切ったことにくのいちは受けねばならないと言った空気で頷き、対照的にパァッとティアは表情を明るくする。自分の熱意に要望が通ったんだとばかりに。
「・・・取り敢えずティア、一回部屋を出てくれる?本来なら貴女がちゃんと大丈夫だってなった時の為に説明の時間を設けるようにするつもりでいたけど、こんな形になったからその時間を省きたいし貴女にそのまま聞かせるのは良くない中身が出てくるからいてくれない方が都合がいいんだよね」
「あ・・・はい、分かりました・・・」
だがくのいちが有無を言わさないような圧力と共に部屋を出るようちゃんと理由を付けて言うと、ティアはすぐにシュンとなり素直に部屋を出ていく。
「・・・これから本題に入る、と言いたいがその前に聞かせてほしい・・・ティアは何故神託の盾に入れた?正直あそこまで酷いとは思わなかったぞ」
「その件に関しましては我々が直接その人事を担当していた訳ではありませんが、もし神託の盾から落とされたにしてもティアは神託の盾に入ることを諦めるような事はなかったでしょう」
「・・・想像はつくな。自分の理想の為には妙に諦めが悪い人物だと感じたから、まず神託の盾に入るまでは諦める姿が想像出来ん」
そしてティアがいなくなったのを見計らい心の底からティアに対しての疑問を口にするピオニーに、くのいちが神託の盾に入ることを諦めなかっただろうと予測した事に納得する。自分が入れないのが間違っていると言わんばかりに動くだろうと。









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