「ガイ・・・お前がそういったことを考えずにいたことは今の反応でよく分かる。だからこそ改めて言うがここに残れ。ハッキリ言って今のお前が大丈夫だなどとは到底思えんが、今ここに残るなら客分として扱うことが出来るし事が進んでその気になればマルクトでお前を雇うことも出来る・・・だがその勧告を振り切った上であちら側に様々な思惑があれど裏切るような素振りを少しでも感じたなら、ジェイドにはお前を躊躇いなく殺すように動いてもらう・・・さぁ、選べ。ここに残るか、奥方達に付いていくか」
「っ！わ、わかりました・・・私はここに残らせていただきます・・・」
「よし、ならジェイド。ガイをまた部屋に連れていってくれ」
「はっ。では行きますよ、ガイ・・・」
そして間髪入れずに考える間も与えないピオニーの選択についての鋭い問いにガイはたまらず残ると口にし、余韻を残す間もなくジェイドに後を任せガイは共に部屋を後にする。
「・・・さて、色々聞きたいことがある奴もいるかもしれんがあまり本題に関係無い所で時間をかける訳にはいかんからな・・・早速だが次にティア、お前はどうする？言っておくがお前もガイ同様戸惑いだったり寝返ることは許されん立場にある・・・と言ってもガイと違いお前はダアトに所属しているし、奥方を始めとして要職にいる者ばかり。だからもしもの場合の処置も含め、連れていくか行かないかは奥方達に任せる形になるがな」
「っ！わ、私は付いていきます！決して丞相にイオン様達を裏切ったりしませんし、戸惑ったりもしません！」
「・・・と言っているが、どうする奥方？」
その一連の流れのあまりの早さにあえて触れないように言いつつティアにどうかと問うが、勢いよく返すものの消化しきれてないのが明らかな様子にくのいちにピオニーは振る。
「・・・少々お時間をいただきます・・・ねぇ、ティア・・・そうやって精一杯やる気を出して付いてこようとする気持ちは買うけれど、もし付いていくっていうなら本格的にティアも引き返せない道に足を踏み入れる事になるし、それこそガイに陛下が言ったように裏切るような兆候だとかを戸惑いみたいな形でも感じたら有無を言わさず私はティアを殺すよ？」
「っ！」
「そうなることを覚悟の上で謡将に大詠師達と対峙するつもりなら連れていくよ。それでもいいなら、ね」
「っ・・・」
くのいちはピオニーに時間をもらうと言った上でガイ同様裏切った場合の報いについてを冷たくも鋭い刃を直に首元に当ててるかのよう口にしていき、選択を強いられたティアは冷や汗を大いに流しながら視線をさ迷わせる。
「・・・ねぇ、ティア。そうやって自信を持って答えられないって事は謡将に大詠師に対して拭いきれない不安があることもそうだけど、向こうが自分の事を助けてくれたり言うことを聞いてくれれんじゃないかと言った考えが少なからずあるからだよね？言葉にしなくてもいいからせめて首だけでも振って、正直に答えてくれる？話が進まないし、怒らないからね」
「・・・」
「う～ん、やっぱりそうか～」
くのいちはそこで一転して小さな子どもに優しく接するような声色でティアに話し掛けると、力なくも確かに頷いてみせたその様子にうんうんと頷く。









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