女忍、主の命を遂行する

「ちなみにルークはナタリア様に対して、どういう気持ちを抱いてるの?バチカルとケセドニアでの感じからして、ナタリア様に対して女性として見れてるとはあまり思えないけど・・・」
「まぁそれは間違ってねぇかな・・・会うたび会うたび俺に記憶は戻ったのかって聞いてきたのもそうだし、いつもあんな風な態度だからあいつに女としての魅力なんか感じたことなんてないんだよ・・・だから精々、幼馴染みくらいな感じしか俺はナタリアには感じてねぇけど・・・ナタリアがアッシュの事を知ったら、多分あいつはアッシュの事を求めるんだろうな・・・」
「・・・それほどナタリア様はアッシュといた時の記憶を求めてきたんで?」
「屋敷に来た時にいつも口にされんのは記憶は戻りましたか、約束は思い出せましたか・・・だ。ナタリアにとっちゃそれだけ重要な事だったからなんだろうけど、事実を知った後だと尚更あいつに対して嘘をつくだとかまでして、俺がキムラスカに戻って『ルーク』であるようにってのは無理が出てくるように思うんだよ・・・もう俺は本物の『ルーク』じゃないしその記憶なんてないんだから、あいつの求める『ルーク』になんてなれないんだからな・・・」
「あ~・・・確かにそれに関してはキツいとしか言いようがないっすね~・・・ルークはもう事実を知った後だし・・・」
くのいちはそこでナタリアについてをどう考えているのかとルークに聞くのだが、自身の記憶を思い出しながらもあまり表情を明るく出来ずにいる様子にアニスにイオンと共に複雑そうに表情を歪ませる。ルークの立場から考えれば、簡単に結論を出せるような問題ではないために。
「・・・なぁ。一つ聞きてぇんだけど、キムラスカに行く時ってナタリアにもその事実を明かすつもりでいんのか?多分今の状況じゃそれをどうにか避けようとするのって相当難しそうだと思うんだけどよ・・・」
「う~ん・・・確かにそれは避けられないかな・・・バチカルに行くんならどうしたってキムラスカの上層部と向かい合う必要はあるから、そこでナタリア様だけ知らせないようになんて都合のいい事なんかまずないだろうし・・・精々ケセドニアにまで勝手に来たことで謹慎処分を食らってるかもしれないから、知られる時間が多少遅いかどうかだろうしねぇ・・・」
「やっぱそうだよな・・・ってなると、俺とアッシュの事にはナタリアもいないといけないことになるけど・・・事実を知ったら多分、あいつは一も二もなくアッシュを選びそうなんだよな・・・あいつが今までどんだけ記憶のあるルークを求めてきたか、それを俺はよく知ってるから尚更な・・・」
「ルークがそう言うんならその可能性は高いんだろうけど・・・自分で予想出来るって言っても辛いよね、自分が否定される可能性が高いって考えられるって」
「・・・そりゃつれぇよ。でもナタリアが好きなのは記憶がない俺じゃなく、あいつと約束した本物の『ルーク』のアッシュだ・・・これはどうやったって変わらねぇ事実だ・・・」
「ルーク・・・」
だがルークはそれでもナタリアについての話を進めていき、くのいちから返ってくる現実的な返答を受けて明るい材料がない事を重く受け止め目を伏せる姿に、またアニス達も表情が哀れみを持った物へと変わる。事実を受け止めてこそいるがそこにルークからしての全く明るい未来が見えないという、あまりに辛い状況があるために。









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