女忍、主の命を遂行する

「・・・師匠は本当にイオンを造る事を命令したんだな・・・俺の時と同じように・・・」
・・・それでくのいち達から話を聞き終わったルークは、重くうなだれながらも事実を反芻する。認めたくないが認めざるを得ない事実と、ヴァンが自身に取った仕打ちがあるからこそ否定出来ない為に。
「すみません、ルーク・・・今まで黙っていて・・・」
「いや・・・お前の立場を考えりゃ、そりゃ黙ってんのが当然だろ・・・ただ普通に流れで俺も事情を聞いちまってよかったのか?他の奴らならともかくよ・・・」
「その点は問題ないよ~。ルークならそうそうイオンの言ったことを口にしないって見てるし、聞いてよかったのかって言うのは事の重大性をちゃんと認識してるって証だしね~。それともイオンの事を誰彼問わず言うつもりでもあるの?」
「いや・・・そんなことはしねぇよ・・・そんなことをしちまったら色々混乱するってことは聞いちまったし、俺も似たような立場だ・・・なのにどうして俺がイオンの事を一方的に文句なんて言えるんだよ・・・」
「うんうん、あっしの見立て通りっすね~♪そういう反応をしてくれるなんて♪」
イオンがその姿に頭を下げるが気にしないとしつつも話を自分が聞いてよかったのかとルークが聞くと、くのいちが入ってきて逆に気持ちを問い質すと再び重い顔付きになったことに笑顔と共に気楽な声で返す。
「まぁ取り合えずこれからもしばらくルークには私達と一緒に来てもらわなきゃならないんだし、事実は早目に知ってもらっておいた方がいいと思って一緒にいてもらったんだ」
「そうなのか・・・でもガイとティアの二人は付いてこないんなら本当に聞かせるつもりはないんだよな?イオンの事を」
「まぁね~。ガイはまだイオンの事に関しては分別はつけてはくれるとは思うけど、ティアに関してはちょっと所じゃなく大分危ないことになる可能性もあるんだよね~。主にレプリカが導師にすり変わってる事が許せないだとか、兄の行動による遺産を排除にかかるなんて正義感を無駄に燃やされる可能性をね」
「それは、お前やコーメイが言い含めるか近くに置いときゃ何とかなるんじゃねーのか?一応あいつお前らに対しちゃ遠慮っていうか、兵士としての態度になってたんだしよ」
「表向き恭順の意を示しはしても、謡将や大詠師を前にしたらどうするか分からないのが不安要素だからね~ティアの場合は。もし何も知らない人達の前でカイツールの時のように所構わず謡将や大詠師達に自分が信じたくないからそれを聞くなんて事をされたら、取り返しがつかないのはルークにも分かるっしょ?」
「っ!・・・あぁ、想像出来た・・・カイツールの時みたいに攻撃的にってより、悲し気に師匠に何でって大声でぶちまけそうな姿がな・・・」
それでくのいちが話をまとめようとしたがルークからガイとティアについての確認の問いを向けられ、ガイについてはまだしもティアは信用出来ないと根拠と共に語るとルークは何とも言い難そうながらも納得する・・・冷静な兵士であろうとするティアだが、自分の中での重大な出来事を前にすると途端にその冷静であろうとする仮面が一気に壊れてしまう。そんな光景を何度も見てきた為、ティアなら大丈夫などと言える要素がないとしか言えないとルークも感じてしまった為に。













.
9/15ページ
スキ