「・・・だからこそイオン様を造り、謡将に至ってはダアト式譜術を求めているということなのでしょうが、そこに関して１つ疑問があります」
「何ですか？」
「・・・何故そうまでして導師の身代わりを立てると決めたのに、二人は導師を自分の側の人間として引き込まなかったんですか？現状を考えればその方が二人にとって都合が良かったと思うし、やりやすかったのではないかと思うのですが・・・」
「そこですか・・・」
そんな様子の中で続いてジェイドが口にしたイオンを引き込むという選択をしなかった二人の何故についてに、ディストだけでなくくのいち達の残りのダアト陣がアッシュを除き何とも言いがたそうに顔を見合わせる。
「・・・これに関しては続いて私が言いますが、二人は単純に導師に関しての身代わりやダアト式譜術以外に価値を見出だしていなかったこともありますが、何より何か二人にとって余計なことをするであるとか役割が必要な時は力ずくでいけばなんとでもなる・・・そういった考えがあるから導師が導師としての役割を果たしているなら、別にどうでもいいと言った風になったんですよ」
「・・・力ずくで、ですか・・・」
「それも導師がレプリカだからこそと思っているからなんだろうが・・・流石に聞いていて気持ちが良くないし、もしも自分達の意に沿わなければヴァンはともかくとしてもモースは導師を物理的に排除にかかる可能性も十分に有り得たということか・・・」
「そうなる可能性が高かったのは間違いではありませんが、だからこそ何も知らないように導師は振る舞っていたのです。丞相よりの指示を受けたのもあって」
「・・・ここでまた丞相か・・・」
それで続けてディストが代表して意を決したと言ったようにその理由について話すのだが、あまりに身勝手な理由にマルクト陣の表情が苦くなる中で孔明の事が出たことにピオニーが感心したように漏らす。
「・・・ここからは私が話を引き継ぎますが、私は産まれてから導師の役割を言われるがままにこなすようにと望まれた中で丞相が私に話しかけてきてくれました。その中身は最初は私に配慮してか噛み砕いたような言い回しに加え、段階を踏んでそういった私の立場を説明していき、その上で私に導師としての心構えであったり知識などを度々教えていってくれたのです。勿論丞相の立場もあってそう長い時間を取れることはありませんでしたが、それでもその教えが私にもたらしてくれたものがなければ、気付けない事に感じられない事ばかりで今こうして迷うことなく皆様の前に立つことなど出来てはいなかったと・・・私自身感じています」
「それも丞相がいてこそ、ということか・・・まぁ丞相からしてみれば導師に知恵をつけてもらったり自覚を促してもらうのは、こういった状況になるのを見越してなんだろうしそれはこちらにとってもありがたい。だがそれならこちらとしても思うのだが、名実共に丞相が導師の名を受け継ぐなり新たな役職名を冠してそちらサイドのトップになってもいいのではないか？話を聞いた限りでは導師は丞相に対して悪印象を持っていないようだし、実力も認めているのは間違いないだろう。それなら例え導師の血脈のことがあるとはいえ、そうした方が分かりやすくていいと思うが・・・」
「はい、私もそう思いそう言った事がありました。全てが終わったのなら自分は飾りの存在となってもいいから、貴方が名実共にダアトの指揮を取るべきではないかと。ですがそれは拒否されました、貴方が貴方でいるのならそのようにする理由はないと」
「導師が導師なら・・・？」
それでイオンが自分が話をすると受け継いで自身の事を話していき、その中身にピオニーがもうトップに孔明がなるべきじゃないのかと口にすると意味深に返ってきた答えに眉を寄せる。









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