女忍、主の命を遂行する

「だが何を話すつもりでいるのだ?言ってはなんだがそちらが話した情報だけでも大分大事だというのは十分に承知してはいるが、それ以上の情報があるとは思えんのだが・・・」
「ご安心をというのは意味合いが変わってきますが、まだお話せねばならぬことはあります。そしてそれはダアトにおいて最も禁忌と言ってもいい秘密でございます」
「・・・そこまでの事を話すつもりなのは俺達としては構わんのだが、いいのか?例え丞相がいいと言っていただろう事に加え、導師も許可を出しているとはいえそんなことを言うなど・・・」
「いえ、今からお話をする中身はその導師の事にあります」
「何・・・」
それで早速とピオニーが話すことがまだあるのかとばかりに話し掛けてくるが、イオンの事になると返すくのいちに覚悟を決めたと言った表情のイオンに視線が集中する。
「おい、まさか・・・導師の事実を明かすというのか、お前ら・・・!?」
「そうだけど、アッシュにとって何か問題がある?導師のことを口にされることは」
「・・・いや、ねぇ」
「どういうことだ?アッシュも何か知っていることのようだが、そんなに言ってはまずいことなのか?」
「そうなりますが・・・あまり長く話をするのもよろしくないとのことですから、簡潔に何を言いたいのかを申し上げましょう」
そこにアッシュが信じられないといった様子で声をかけてきたことからピオニーも事の重大性をそのやり取りから察したことに、くのいちは本題を話すと前置く。



「・・・簡潔に事実を申し上げますが、ここにいる導師イオンも・・・レプリカという存在であり、本物の導師はもう鬼籍に入っています」



「「「「!?」」」」
・・・だが次の瞬間口にされたくのいちからの事実に、今初めて聞いた面々が一斉に表情を驚愕に染めた。イオンがレプリカという事実に。
「・・・信じられないかと思われるかもしれませんが、彼女が申し上げたことは事実です。嘘ではありません」
「・・・ではそれが本当だと言うなら、何故そんなことを・・・と言うのもそうだが、丞相達はそこに関わっているのか?」
「いえ、私を造るようにとヴァンがモースに死ぬことは避けられなかった被験者の代わりにしようと持ち掛けたとのことです。12という年齢に加え、最後の導師の血脈が途絶えること・・・それがダアトにとってどんな混迷をもたらすのかというように聞かされて、モースはすぐに導師のレプリカ・・・つまりは私を置くことを決断したとお聞きしました」
「・・・マジかよ・・・」
唖然とした空気になる中で口を開いたのはイオンでピオニーは確認の声を向けていくが、返答の内容にたまらず頭を抱える。ダアトの暗部について話すとは聞いたが、まさかここまでと思わなかったとばかりに。
「・・・一つ私からもお聞きしたいのですが、モースはよくフォミクリー技術を使うことを許可というか認定しましたね。例え本物の導師が死んだことを誤魔化せるとは言え、あの技術の悪用をされる事についての危険性を全く考えていないのはモースを見た印象としては有り得ないのではと思うのですが・・・」
「その点は私がいたから安心していたという面が大きいからです。私は謡将だけでなく大詠師とも繋がっていましたからね。彼にとって謡将が怪しい動きをしたら報告するという形を取っていましたから・・・ですがそれも謡将の行動を丸々全て報告などすれば我々の計画も含め台無しになる可能性が高くなりましたし、何より嘘の報告をすればそれでもう満足していました。ですから警戒していたのは精々最初くらいでむしろフォミクリー技術は役に立つからまた何かあれば使わせてもらおう・・・というように便利な技術程度で今は考えていると思いますよ。元々謡将が何の為に技術を用いようとしているのか、そんなことはとうに頭の中から消え去っているでじょうね今頃は」
「・・・都合のいい技術で裏切ってもどうにかなると思っているから、別にどうとも思っていないということですか・・・浅慮もいいところですね、本当にモースは・・・」
続いてジェイドがモースの警戒心についてを聞くのだが、ディストが答えたそのあまりにもモースにとって都合のいい考えに心底から呆れたように眼鏡を押さえる。その顔を隠すように。











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