女忍、前進する

「・・・とりあえず今日はどうするか、マジで考えとけよ。お前がどうなるかわかんねぇのもそうだけど、これから俺もどうなるかわかんねぇんだしよ・・・だから俺としちゃ無理に俺らに付いて来るよっか、グランコクマで全部終わるまで待つなりこっちで使用人としてでも雇われてもらった方がいいって思うぞ」
「けどそうしたらルーク、お前が・・・」
「人の事気にすんなっつーの。俺も俺であんまり余裕がねぇし、状況次第じゃお前は戻れたって俺はファブレに戻れねぇ・・・なんて事も有り得んだ。俺の事を一緒に考えるってのは気持ちとしちゃありがてぇとは思うけど、俺の事を考えて選択が変わるなんて事になったって俺は責任なんて取れねぇからよ・・・」
「っ!・・・責任が取れない、か・・・」
ルークもその視線に対して自身の考えを述べていくのだが、言葉に強さが全くないその様子にガイは苦い顔を浮かべる。ルークに頼る事が出来ないし、頼れないといった空気を感じてしまい。
「・・・今ルークの考えは聞いたでしょ、ガイ?私はあくまで考えることを選択肢に挙げたけど、それを選択するのはあくまでガイ自身・・・他がどうするなら自分はこうするって風に考えるって事はしないでね。そんなことしたら今ルークが言ったように、その人が責任を取るなんて事は出来ないし押し付けることなんてそうされた側は望ましい事じゃないからね」
「・・・・・・あぁ、分かった・・・自分でどうするか、出来るだけ自分で考えてみるよ・・・」
そしてくのいちが最後とばかりに選択の責任を人に押し付けるような事をしないように念を押せば、ガイも重く頷く。誰にも責任を押し付ける事が出来ないし、決断を逃げることも出来ない・・・そう理解したために。
「あ、後ティア。ティアも残りたいなら残っていいっていうか、まだ謡将や大詠師と相対することに不安とか迷いとかあるって言うなら残ってくれない?」
「なっ!?わ、私は大丈夫・・・!」
「じゃあさっき、二人の事について言われた時の動揺はもう完全に消え去った・・・なんて言える?」
「そ・・・それ、は・・・」
そう決まったのを見てついでといった程度にティアにも待つよう言うくのいちに反論しようとしたティアだが、衝撃を拭いきれてない事を指摘され途端に口ごもる。
「てな訳だから、今はガイと一緒にここにいてどうするか考えてね~。明日にはガイと一緒にどうするのかって答えを聞くけど、その時の答え次第じゃもう私達と一緒に行くのは無理って判断してダアトに戻すなりなんなりして私達から離れてもらうようにするからさ」
「離れてもらうようにって・・・確かに私は迷っているかもしれませんが、ここで逃げたくはありません!兄さんの事は私にも責任があります!」
「逃げたくないっていう気持ちがあるなら大丈夫なんて言って、すんなりまた同行・・・なんて流れにしたくないから私は言ってるんだよ?もしそれでいざ二人と対面なんて時になって、精神的な事を突かれてさっきみたいになって私達が突き崩されて全部おじゃん・・・なんて事になったら私達だけじゃなく、マルクトも預言通りに滅ぶ可能性が一気に高くなるんだよ?そうなったら自分が責任を取るなんて事を言うことすら出来ないんだよ?・・・だってその時にはもうティアも私達と同じように殺されてる可能性が非常に高いんだからね」
「・・・っ!」
それでしっかりどうするか考えるように言うが逃げたくないから嫌だと強く返すティアに、くのいちはもし迷った場合の最悪のシチュエーションを寒気を感じさせるような声色で口にして顔を青ざめさせた。自分がそうなるかもしれないという恐怖を抱き。








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