女忍、前進する

「今の時点でガイを無事に保護してくれる所って大分限られてるとか、そういう領域の話じゃないんだよ?キムラスカは言うに及ばずだけど、ダアトはダアトで旦那様が今頃大丈夫なようにってしてはいるだろうけどケセドニア経由で船で向かわなきゃいけないから、時間も手間も相当かかる・・・そう考えるとマルクト、それもグランコクマから離れるって言うのはあまり効率が良くないんだけど分かる?」
「まぁ確かに・・・そういうことならマルクト以外に俺がいて大丈夫な所ってないのか・・・」
「一応じゃあるけど、これからの話を聞かないまま私達と行動を共にする事も出来ない訳じゃない・・・けどそうした時は場合によっては事情を知らないってガイが主張したって、キムラスカがマルクトに関する良からぬ秘密を知ってるんだろうって詰め寄られるばかりか無理矢理に口を割らせにかかることも十分に有り得るよ」
「っ・・・それは確かに考えてみると、そうなるのは嫌だが・・・俺の事をマルクトは受け入れてくれるのか?・・・単なる使用人でしかない、俺を・・・」
そんな姿にマルクト以外に安全な選択肢がないことと尚も無理に付いていく事を選択した際のリスクを口にしたくのいちに、ガイは冷や汗を浮かべつつもマルクトが受け入れてくれるかと使用人の部分に若干の含みが入ったように返す。
「その辺りは先に大佐殿には話はしてるよ~。もしガイが付いていきたくないだとか来れないって言うんなら受け入れてくれるようにしてくれないかってね」
「えっ・・・いつの間にそんなことを・・・?」
「まぁ正確にはちょっと話した中身は違うんだけど、とにかくタルタロスに乗ってる間にちょいとね。てな訳なんで~、陛下と話終わった後に結論を・・・なんてのは流石に今の様子を見る限りじゃ早すぎるから、今日の内にどうするか考えてもらえる?その結果次第で連れていくかどうか、大佐殿にガイの受け入れの準備をしてもらうかが決まるし」
「あぁ、分かった・・・って言いたいんだが、どうして俺をそんなに気にかけてくれるんだ・・・?」
「別にガイに惚れたとかそんな艶っぽい話じゃないよ?旦那様が私にはいるし・・・まぁこれから先に危険になる時ってのはどうしても出てくるから、無理に付いてくる必要のない上に無理をしてまでガイが付いてこなくていいようにって思っただけだからね。そんな状況で無理に連れてきたガイを頼ろうとしたら精神的に動けない状態になってて、私達ごとダメになりました~なんて展開にしたくないからね」
「っ・・・俺を気遣う以上に、そっちの状況を悪くしないようにしたいからってことか・・・」
「あんまり気分がよくないだろうって事を承知で言ってるけど、それはゴメンね~」
「いや・・・そういう風に言ってくれるなら却ってまだ考えやすくなった・・・今日は俺がどうするか、ちゃんと考えてみようと思う・・・時間を取らせてくれ・・・」
「うん、い~よ♪」
その含みに触れずに話を更に進めていくくのいちにガイは戸惑いながらも話を聞いていき、どうするかを考えると神妙に頷いて返して笑顔を浮かべたくのいちはルークへと顔を向ける。
「てな訳なんすけど~、ガイがもし離れるなんて事になってもいいっすか?」
「あ~・・・それで構わねぇよ。俺は関係ねぇなんて言えねぇ位置にいるからどうしようもねぇけど、ガイはまだギリギリどうにかそう出来る位置にいるって話なんだろうから無理してまで付いてこない方がいいって今の話で俺も感じたからな」
「ルーク・・・」
それでルークの意見を伺えば同意といった中身が返ってきた事に、ガイは何か感じ入ったような声でその名前を漏らす。










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