女忍、前進する

「そういうことなら話は分かった。この件に関しては導師ではなく丞相への協力ということで進めることにするが、それでいいんだな導師?」
「はい、それで構いません。私の意志は丞相の意志、そう見ていただく形で結構ですし決定権は丞相もそうですが奥方の方にあると見て話を進めてください。私の意見を聞いていただけるのはありがたいのですが、直接奥方に伺いを立てた方が手間を省けます」
「分かった、そういうことならそうしよう」
その流れからピオニーはイオンに孔明が代表としていいのだと確認し、肯定しつつくのいちに話を聞くよう返すとピオニーもまた納得する。
「ということらしいのでそちらに話を聞くが、具体的にこれからどう動くつもりだ?大詠師と謡将を廃するつもりとは言ったが、それはつまり二人の一派も含めて殺すことも視野に入れてると見ていいんだな?」
「はい、それは」
「待ってください!・・・本当にモース様に兄さんを、殺すつもりなんですか・・・!?」
「・・・それ以外に二人を止める手段があると思うの?ティア」
「・・・っ!?」
それで話をくのいちに振るピオニーだが、その中身にティアが反応して泣きそうでいて信じられないとばかりの声を向ける。その声に対してくのいちは温度を感じさせない視線と声を受けて、ティアはビクッと体を萎縮させて息を詰まらせた。
「多分ティアは二人をどうにか捕らえるだけだとか、改心させるだけに留めたいとか思ってるんじゃない?そして二人に対しての処分は厳重注意に留めるだけにして、その地位も失わないようにしてほしい・・・とかそんな風にさ。どうなの、その辺りは?」
「・・・・・・正直に答えますが、私はそうしてほしいと思っています・・・二人がやろうとしてきた事はあるとは言っても、それでも二人が悪意を持ってやってきたなんて・・・」
「じゃあ悪意が無い判断をしたからマルクトは滅びても別に良かったし、罪にもならない・・・とでも言うつもりか、お前は?」
「っ!?い、いえ・・・そんなつもりは・・・」
「つもりはなくとも、お前がそういうように言った事実に変わりはない」
それでくのいちが空気を普通に戻して優しく問い掛けティアは何とか答えはするが、その中身に反応したのは空気を重くした気に入らないといった様子のピオニーでたまらず言い訳をしそうになるがそれを制止する。
「まぁヴァンはともかくとしてて、モースは悪意といったように行動をしてないというのはまだいいだろう・・・だがそれは預言が達成出来るならそれでいいという、人の都合なんか考えていないからこその物だ。そこにはキムラスカが喜ぶだとかマルクトが滅んで可哀想だとか、そんな考えは一切ない。それこそ悪意もだが善意もなく、ただ預言という結果だけを求めている・・・それを悪意がないから悪くないとお前が思うんなら、別に俺は構わんし丞相の奥方も構わんのだろう。だがそんな考えを俺達が認めたら、マルクトは滅びる事になる・・・だから俺達マルクトは丞相の考えに乗らせてもらう。悪意が無いなら許せばいいなどという考えなど到底認められることではない。そしてお前の言葉を重要視しなければならないなんて理由もない」
「そ、それは・・・」
「それでも諦められんと言うなら聞くが、もし奴らに情けをかけて世界全体を巻き込むような事件を奴らが起こしたならお前を全力で槍玉に上げてもいいのか?お前が奴らに情けをかけたからこういう結果になったから、せめて人々の溜飲を少しでも下げる為に責任を取って処刑を受け入れる・・・なんて展開の槍玉に上げる形でだ」
「っ・・・!!」
そこから悪意の存在の在り方についてを語った上で尚二人に情けをかけることを直訴するならとピオニーが口にした対応の仕方を聞き、ティアは一気に表情を青ざめさせた。自分の判断で世界の命運が左右されること以上に、自分の命までがその責任として奪われかねない状況になるかもしれない・・・その危険性を聞かされて。












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