女忍、前進する

「・・・つーか聞きてぇんだけど、お前らはピオニー陛下の事ってよく知ってんのか?」
「ん~、あっしは表向きちゃんとした形で接触したことはないからなんとも言えないんだよね~。この事に関して詳しいのって言うとディストだけどどう?」
「良く言うなら親しみやすい方で能力も高い方ですが、その反面として私情で動きやすいという側面を持っていますが・・・どうしたんですか、いきなりこんなことを聞いて?」
「いや、よく考えたらグランコクマ行くのにピオニー陛下の事なんて俺何も知らねぇなって思ってちょっと聞きたかったんだよ。つってもなんつーかって感じだけどな・・・」
そして再び辻馬車の中、ルークはマルクトの皇帝であるピオニーについてを聞きたいと切り出して頭をかく。どことなく微妙そうでいて複雑そうに。
「何かピオニー陛下について言おうとしたことだとか、考えていた事があるんですか?その様子だと」
「あ~・・・単純にマルクトがこっち側に本当に協力してくれんのかって思っただけだよ。ディストの言う通りなら協力してくれるだろうとは思うけど、私情で動きやすいって聞くと何だか本当に大丈夫なのかってな・・・」
「あぁ、そういうことですか。私情で動くなら展開次第では我々もまずいのではないかと・・・まぁこの辺りについては私に任せておいてください。性格に考え方については概ね把握していますから、昔と変わっていなければ大丈夫だと思いますから」
「ん?なんかピオニー陛下の事を昔から知ってるみたいに言ってるけど、知り合いなのか?」
「えぇ、幼少の頃にね」
「そうなのか・・・」
ディストがその態度に指摘すると返ってきた一抹の不安があるといった様子に、自分がやるからいいとピオニーとの関係性も含めて告げて納得させる。
「まぁとりあえずは後数日の内には着きますから、それまでの間はゆっくりとしていてください。ピオニー陛下との謁見が済んでこちらの思うように話が進めば、今の状況の打開の為に大きく動くことになるでしょうからね」
「あぁ、そうするわ。一先ず大きな心配もないだろうって聞いたしよ」
それでゆっくりするよう勧めるディストにルークも考え事が解決したためすぐに頷く。とりあえず心配は必要ないと知った為に。


















・・・そんなルーク達を乗せた辻馬車と他の辻馬車は相当な速度で道中を進み、途中でグランコクマに繋がる森の中でマルクト軍の検閲にあったものの、ジェイドがいた事に事前にマクガヴァン親子の方からの連絡があったことから一同はすぐに通されることとなった。

それで森を抜けた一同は森から程近い位置にあったグランコクマの地へと辿り着いた。



「あ~・・・なんか緊張するな・・・」
「心配しなくていいっすよ~、ピオニー陛下との話は基本的にあっしがしやすから」
・・・そしてグランコクマの街を抜けて宮殿まで来て、謁見の間の前に来たルークの緊張という言葉にくのいちがリラックスさせるよう笑顔で声をかける。
「・・・お待たせしました、今から陛下が会われるとの事です。お入りください」
「分かりました」
「・・・前に見せていたいつものような顔か、真剣な顔か・・・果たしてどちらですかね・・・」
そんな時に謁見の間の扉が開いてマルクト兵が現れた事にくのいちは表情を引き締めて頷いて一同共に中に入っていき、ディストはそっと呟く。ピオニーは今はどうなっているのかといった様子で。











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