女忍、前進する

「・・・まぁどういうことにせよ、あの様子を見るからにはティアは自分にとっての都合のいい助けを求めていることに変わりはない。そんなティアを助けるように手を差し伸べたとしても、ろくな結果にならないことは容易に想像がついている・・・だから私はティアをそんな形で助けないと決めているし、もう気持ちとしても区切りはつけている。ティア自身が考えを変えぬというならこの行軍の終わりを持って、もう二度と会うこともないだろうとな」
「あ~、もうそうなる可能性がすげぇたけぇって考えてるって訳か・・・」
「・・・この辺りはいくら親しいと思っていようが、結局は他人が何かを言って人の人生観を180度変えるなんてそうそうあることではない。お前は言葉だけじゃなく態度もあって色々と考えることで変化をしてきていると見るが、ティアは既にヴァンの正体についてを目撃した上であぁいった行動を取っている・・・変わる可能性はほぼゼロに等しい。そんな淡い物に期待するだけ無駄だ」
「・・・きちぃ事を言ってるように思うけど、本当にそうなんだろうな・・・あいつがまず変わらないってのは・・・」
そして改めてもうティアに変わることを期待して求めないと言い切るリグレットに、ルークも複雑そうながらも納得する。ティアに差し伸べる手に助けは本当に意味がないのだと。
「まぁとりあえず分かってるだろうけれど、そこに関しては本人の前では触れないであげてね。言っても到底納得しないのは目に見えているし、今錯乱されてもここに置いていくなんて選択肢はガイ達の事も考えると、こっちの印象が悪くなるのもあってあんまりやっちゃいけない事だろうし」
「・・・ガイ達にティアの事についての話はしないのか?」
「多分ジェイドはこっちの話に乗っかってはくれるだろうけれど、だからって全部が全部私達の思い通りに動いてくれるかっていうのは正直微妙なんだよね。特にティアに対して挑発的な態度を取るなって言っても、それを滲ませることもなくいられるかって言うと自信を持っては言えないしさ」
「あぁ~、確かにあいつならそんな感じだよな」
「続いてアッシュはジェイド以上にこっちの言うことを気にせずぶちまけるだろうから、余計にこの話を言いたくないし・・・ガイに至っちゃ論外だね~。多分話を聞いて中身にこそ納得はしても、性格的に今までの事を考えると女ってだけでティアが酷い目にあうならって擁護に入りかねないし」
「うわ・・・でも本当にガイなら有り得そうだわ、ティアをそんなに責めないでやってくれよとか言い出しそうだし・・・俺がそんなことすんなとか言っても効果もそんな無さそうだしよ・・・」
「むしろティアに対してこんな状況になってるんだって、状況次第でぶちまけさえしそうなのが何より怖いんだよね。そうなったら今のように多少不穏で不満なんかはあっても、大人しく付いてきてくれるなんて事はもう望めないだろうし・・・」
「だからあいつらには話すなってんだな・・・分かった、特にガイには話を聞かせないようにする。絶対にだ」
「そうしてね~、是非」
そこにくのいちがティアとジェイド達に今の話をしないようにと理由も含めて話すと、ルークも重く理解したと頷く。特にガイには今の事を聞かせられないと、重々理解させられる形で・・・

















・・・そんな風にティアに対しての話をした以外は特に変わったことが起こることもなく夜は過ぎ、くのいち達は再び辻馬車に乗って一路グランコクマへと向かった。











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