女忍、前進する

「まぁその辺りに関してはティアが人の表向きの態度や伝え聞く評価を第一にし過ぎて、ちゃんと人を見る目を養ってこなかったのが大きいんだけどね~。そんなんだから謡将の事を刺しておきながら疑いを確信に出来ず、あんな風に私達がいなかったら最悪の危機を招いただろう時にアクゼリュスは来たんだし」
「はっ!?師匠を刺したってどういうことだよ!?」
「あっ、これ言ってなかったっけ・・・んじゃ時間をかけないように簡単に話をすると謡将が自分の計画について話をしていたのをティアに聞かれて、それを止めようとしたのか気が触れたのかは知らないけど謡将を刺したんだって。ただ本当ならそこで謡将の立場ならティアの事を厳正に処罰、もっと言うなら命を狙われたんだからその場で切り捨てても良かったんだけどそれをせずにすごく軽い処分で終わったんだ。謡将がそんな大袈裟にしないようにって動いたからね」
「マジ、なのか・・・て言うか、何で師匠はそんな事を・・・」
「その辺りは本人に聞いてないから何とも言いようがないって言いたいけど、多分ただ一人の妹で大事に思ってるから・・・ってくらいかな~。謡将からしたら何も知らないよう、知らせたくないからこそ敢えて厳しく罰したくなかったんだろうけどそれが逆効果になったって考えるとね~」
「逆効果・・・それってティアの行動とか考え方の事を言ってんのか?」
「うん。本当だったらティアの行動って例え兄弟間であってもちゃんと法で裁かれるべき行動だった・・・それが例え謡将の発言に行動を不審に思ったとしても。そしてその上で牢屋の中からでも謡将の行動についてを訴えるべきだった・・・けれど謡将がそうしなかったから、ティアはあんな風になった。自分の行動についてちゃんとした意味で咎められることが無くなったことで、自分の犯した罪がどんな重さなのか・・・そういった事をちゃんと理解出来ない娘になる形で」
「・・・師匠は、ティアがそんなになってる事に気付かなかったのか?」
「リグレットの話だと謡将を刺してからはリグレットも含め、ティアと接触をしてなかったって事らしいよ。まぁ謡将の立場から考えたら会った瞬間また刺されるような事を避けるのもだけど、計画についてを追求もされたくも無かっただろうしね~。それに加えてそれからのティアが所属することになった所って謡将率いる神託の盾とは接点がない部署だから、余計に謡将達に接触をする機会が無くなったのが大きいんだよね~。だから教官だったリグレットとまともに話すことなんてこの2年で一度も無かったようだし」
「・・・もしティアが師匠とは言わなくても、リグレットと話をしてたらティアは変わってたのか?あんな風にモースの事をすげぇ信じるような事も、ちゃんと色々考えるような奴に・・・」
「う~ん、変わる可能性が高いって考えることが出来たらそもそも私達もティアの事を誘うなり何なりしてたんだよね~。リグレットからティアの事は一応は聞いてはいたし・・・でもそういった可能性を感じないってリグレットが言って、旦那様に私もそう判断したからそうしなかったんだよ。元々のティアが何を求めて神託の盾に入ったかって言ったら他の何でもなく、謡将と一緒にいたい・・・そんな気持ちからで、もし謡将を刺した後に私達のやろうとしてることを聞いたなら、私達の見えない所でどうにかしようって尚更張り切りかねないって思ったんだよ。良くて謡将の説得に自分が行く、悪ければそれこそ謡将を自分の手で殺しに行きかねないってね・・・ただ、それをわざわざキムラスカのバチカルなんて場所で起こすなんて流石の旦那様でも予測してなかったんだけどね・・・」
「・・・あれはお前らにとっても、予想外だったのか?」
「・・・まぁ何かしらの行動を起こすにしても、ダアト内で起こすと思ってたんだよね・・・ティアの神託の盾に入ってからの行動範囲とかを考えると、わざわざ謡将を追ってダアト外にまで行くなんて事はないだろうって・・・けどそうしちゃったんだよね、ティアは・・・」
それでティアについてを更に詳しく話をしていくくのいちだが、バチカルでの行動についてを思い出して珍しく疲れたように頭に手を当てる。いや、くのいちだけでなくアニスもディストも同じようなポーズと表情であった。








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