女忍、前進する
・・・そして再び辻馬車に乗り、一同はグランコクマを目指す。
「・・・なぁ、一つ聞いていいか?」
「ん?なんですかい?」
「ティアはあそこまでモースがそんなことするはずってモースの事を信じてるけど、そんな信用出来るような奴じゃねぇのは俺はあいつを見たから何となく感じるんだよ。それで聞きてぇんだけど、ダアトじゃモースってそんなにいい奴っていうかいい評価ばかりなのか?正直ティアのような感じで結構な数の奴らに信じられるような奴とはとても思えねぇんだけどよ・・・」
「あ~、そういうことっすか」
そして辻馬車の中でルークはティアの態度からモースの評価が高すぎないかと言わんばかりの疑問をくのいちにぶつけると、納得した様子で頷く。
「まぁそいつについちゃ色々とあるんすよ。基本的にダアトって言うか、ローレライ教団じゃ能力は勿論じゃあるけど、重要視されるのっていかに敬虔に預言を信じる者か・・・って事なんで」
「えっと・・・んじゃあモースはその預言の信者としてすごいって見られたから、大詠師にまでなれたってことなのか・・・?」
「ん~、流石にそれだけではないけれどね~。導師って血筋の点で替えが効かない人員以外では成り上がれる地位の中で一番上だから、そこに預言が大事だって姿勢に熱意が他の誰よりもすごいからって全くの無能を置くわけにはいかないしね。だから預言保守派はある程度能力も伴ってる人員を大詠師に据えたかったからモースを置いたの」
「・・・あいつそんなに能力高いのか?」
くのいちはその疑問に預言への信心と能力の両立があってこそと言うが、ルークはまだ疑いの目を変えない。モースはそんなに有能なのかといった様子で。
「まぁ全くの無能じゃないことは確かだよ?と言ってもあくまで預言保守派からして優先されてるのは預言を第一に考えてるかどうかにそれを実行出来る能力があるかどうかなのは確かだけど、モースの場合は態度が事情を知らないダアトの人間にとっては厳かに見えることが大きかったんだよね~」
「厳かぁ?」
「威厳って言った方が分かりやすいかな?モースの態度って威圧的で高圧的なんだけど、教団の信者からしたら預言の為に従事していてそれを信者にも徹底するために厳かな態度でいる・・・みたいに思われてるんだよ」
「・・・何かそれ、都合よすぎゃしねぇか?あんな風な奴が厳かっていいような風に見られるなんてよ」
「そこは教団の上層部だったり、特に旦那様が頑張ってたからってのが大半の理由になるんっすよ・・・ただ無能じゃないとは言いはしやしたが、だからと言って有能かって言われるとそこまでの技量でも無いんす。むしろ下手に悪知恵がある分旦那様や周りの人に押し付けてるんすよ。仕事やら何やらを。けど教団としてはそれを教団の人間に馬鹿正直に明かしたりしても何の得もない以上に、モースを擁立した預言保守派がそんな大詠師の悪評に繋がる事を明かすなって逆に教団内で大揉めになるのが目に見えてるからね~」
「・・・それで、そんな風に振る舞ってる内にモースの評価は上がっていったってのか?」
「うん。そういうことだから教団の上層部は全員モースに心酔してないで、ある程度近い人達はモースの事を心から評価はしてないけど端からの印象だとモースの印象は厳格な人ってなる・・・だからティアみたいに大してモースに近くない人からしたら、モースの横暴さは信じられない物に映るんだよ。あのモース様がこんなことをするはずないって。まぁそれでもティア程まで正体を知って信じたくないなんて言うようなのって相当現実逃避してるというか、モースに理想を持ちすぎてるとしか言いようがないんだけどね~」
「・・・それは俺も思った。あいつ何でそこまで話したこともねぇ奴の事をそんなに信じることが出来るんだってな」
無能でも有能でもないが、周りが否応なしに大詠師の偶像を造り上げねばならない状況だった・・・くのいちはモースの好印象の理由をまとめあげるように説明する傍ら、ティアはそれに振り回されすぎているといったように言うとルークも呆れ気味に納得する。そこまで盲目的にモースをまだ信じようとする様子に。
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「・・・なぁ、一つ聞いていいか?」
「ん?なんですかい?」
「ティアはあそこまでモースがそんなことするはずってモースの事を信じてるけど、そんな信用出来るような奴じゃねぇのは俺はあいつを見たから何となく感じるんだよ。それで聞きてぇんだけど、ダアトじゃモースってそんなにいい奴っていうかいい評価ばかりなのか?正直ティアのような感じで結構な数の奴らに信じられるような奴とはとても思えねぇんだけどよ・・・」
「あ~、そういうことっすか」
そして辻馬車の中でルークはティアの態度からモースの評価が高すぎないかと言わんばかりの疑問をくのいちにぶつけると、納得した様子で頷く。
「まぁそいつについちゃ色々とあるんすよ。基本的にダアトって言うか、ローレライ教団じゃ能力は勿論じゃあるけど、重要視されるのっていかに敬虔に預言を信じる者か・・・って事なんで」
「えっと・・・んじゃあモースはその預言の信者としてすごいって見られたから、大詠師にまでなれたってことなのか・・・?」
「ん~、流石にそれだけではないけれどね~。導師って血筋の点で替えが効かない人員以外では成り上がれる地位の中で一番上だから、そこに預言が大事だって姿勢に熱意が他の誰よりもすごいからって全くの無能を置くわけにはいかないしね。だから預言保守派はある程度能力も伴ってる人員を大詠師に据えたかったからモースを置いたの」
「・・・あいつそんなに能力高いのか?」
くのいちはその疑問に預言への信心と能力の両立があってこそと言うが、ルークはまだ疑いの目を変えない。モースはそんなに有能なのかといった様子で。
「まぁ全くの無能じゃないことは確かだよ?と言ってもあくまで預言保守派からして優先されてるのは預言を第一に考えてるかどうかにそれを実行出来る能力があるかどうかなのは確かだけど、モースの場合は態度が事情を知らないダアトの人間にとっては厳かに見えることが大きかったんだよね~」
「厳かぁ?」
「威厳って言った方が分かりやすいかな?モースの態度って威圧的で高圧的なんだけど、教団の信者からしたら預言の為に従事していてそれを信者にも徹底するために厳かな態度でいる・・・みたいに思われてるんだよ」
「・・・何かそれ、都合よすぎゃしねぇか?あんな風な奴が厳かっていいような風に見られるなんてよ」
「そこは教団の上層部だったり、特に旦那様が頑張ってたからってのが大半の理由になるんっすよ・・・ただ無能じゃないとは言いはしやしたが、だからと言って有能かって言われるとそこまでの技量でも無いんす。むしろ下手に悪知恵がある分旦那様や周りの人に押し付けてるんすよ。仕事やら何やらを。けど教団としてはそれを教団の人間に馬鹿正直に明かしたりしても何の得もない以上に、モースを擁立した預言保守派がそんな大詠師の悪評に繋がる事を明かすなって逆に教団内で大揉めになるのが目に見えてるからね~」
「・・・それで、そんな風に振る舞ってる内にモースの評価は上がっていったってのか?」
「うん。そういうことだから教団の上層部は全員モースに心酔してないで、ある程度近い人達はモースの事を心から評価はしてないけど端からの印象だとモースの印象は厳格な人ってなる・・・だからティアみたいに大してモースに近くない人からしたら、モースの横暴さは信じられない物に映るんだよ。あのモース様がこんなことをするはずないって。まぁそれでもティア程まで正体を知って信じたくないなんて言うようなのって相当現実逃避してるというか、モースに理想を持ちすぎてるとしか言いようがないんだけどね~」
「・・・それは俺も思った。あいつ何でそこまで話したこともねぇ奴の事をそんなに信じることが出来るんだってな」
無能でも有能でもないが、周りが否応なしに大詠師の偶像を造り上げねばならない状況だった・・・くのいちはモースの好印象の理由をまとめあげるように説明する傍ら、ティアはそれに振り回されすぎているといったように言うとルークも呆れ気味に納得する。そこまで盲目的にモースをまだ信じようとする様子に。
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