女忍、前進する

「しかしダアトがそのような形で内部では四つに分裂していて、こう言った形でその一つの陣営が我々についてくれるとは・・・」
「グレン将軍がおっしゃられていることは気持ちは分かりますが、ダアトも色々あってのことです。我々の事が以前の事もあって素直に信じられないかと思われますが、どうかここは我々を信じていただけませんか?」
「い、いえ・・・あくまで私は状況が不思議に感じただけでして、貴女方を不審に思った訳ではありませんしカーティス大佐の証言もありますから信じています・・・不快に思われたのでしたらこちらが謝罪致します」
それでグレンが不意に声を漏らすが、くのいちが不興を買わないようにと丁寧に謝る空気を出した事に慌てて首を振り頭を下げる。失言をしたとばかりに。
「・・・とりあえずグランコクマに行く前にお聞きしたいのだが、アクゼリュスの住民を受け入れた後はそちらの配下の兵達はどうなさるのですか?」
「一応は護衛が済んだならケセドニアにまで戻るようにとは言ってはありますが、何かありますか?こちらの兵に」
「いや・・・ローテルロー橋が壊れていてキムラスカ側にも下手に移動出来ないことを考えると、兵達はどのようにするのかと気になったのだがどうなんじゃ?」
「一応は人目につかない位置に船を隠していますのでそこから船に乗っていただく予定です」
「そうか・・・そちらが望むならタルタロスをそちらの兵士に預けようかと思ったのじゃが・・・」
「父上!?陛下に判断を仰ぐ事もなく何をおっしゃっているのですか!?」
そこに老マクガヴァンが孔明の配下の兵達について聞いてきた為にくのいちは予定を答えると、タルタロスを預けたいと言い出したことにグレンが正気を疑うかのように声を上げる。
「陛下には後で判断を賜った上でそうするべきではないかとわしは思ったんじゃ。タルタロスは謡将率いる神託の盾に奪われた訳だが、これからの事を考えるとそちらに戦力に足がある方がいいとな」
「戦力に足、ですか?」
「うむ。タルタロスは水陸兼用の戦艦で、足としても戦力としても問題ない。それに謡将率いる神託の盾の戦力は話を聞いた限りでは、アクゼリュスの住民を保護して護送している兵の数より多いのであろう。そんな彼らがもし謡将の兵達に会えばひとたまりもないだろうし、こちらが協力するという証の意味でもタルタロスを提供した方がいいのではないかと思ったのだ」
「・・・成程、確かに頷けない話では無いですね・・・」
老マクガヴァンはそう思った理由についてを事細かに説明していき、グレンはその理由に渋る様子を納得へと変える。
「それに事態が事態だ。陛下にお伺いを立てるにも返事が間に合うか分からぬため、事後承諾をしていただいた方が話は早く進むだろう。もし何か咎めるような事を言われた場合はわしが責任を持つ・・・そういう訳だ。ただ、そちらが必要が無いというのであればこの話は断ってもらっても構わぬが・・・」
「いえ、そう言っていただけるのであれば使わせていただきます。その際には兵の代表者であるマルセルにタルタロスを使用するよう伝えてください」
「うむ、そうしよう」
それでグレンからくのいちへとタルタロスを使用するなら渡すようにすると言う老マクガヴァンが言うと、くのいちは慎んで受けるといったように言って注釈を添える。マルセルに伝えるようにと。











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