軍師、後始末をする
「しかし、導師は誰にさらわれたというのだ・・・話では誰も怪しい者は来なかったとのことだが・・・?」
「それはまだ分かりませんが、わざわざ導師をさらってまで何かを成そうとしている事は明白です。そして導師の立場に考え方であったり謹慎してもらっていた状況を踏まえてみると、その辺りの盗賊が身代金目当てに行うようなちっぽけな目的とも団体とも思えません」
「・・・導師をさらった者達の規模は侮れんということか・・・!」
それでモースがすぐに答えを求めてくるが孔明は直接的な答えではなくうやむやに返し、苛立ちだけを浮かべるしか出来ずに孔明を睨み付ける。
「・・・とりあえず、お部屋にお戻りください。アニスも無事とあれば彼女から報告が来るはずです。争った形跡がないとなれば導師もですがアニスも無事でしょう。導師を安心させるためにも彼女の命を奪わずにいるでしょうから。そんな状況なら彼女なら隙を見つけて連絡をしてくると思われます」
「・・・アニス頼みというのは気に食わんが、そうするしかないようだな・・・コーメイ、連絡が来たらすぐに私に伝えろ!私は部屋に戻る、いいな!」
その視線に全く怯むことなく孔明は淡々と待つことを求め、モースはその苛立ちのままに怒声を残して返事を待つことなくズカズカと部屋を後にしていった。
「・・・あのような人物が宗教自治区という形とは言え、国の二番目の地位・・・いえ、実質一番上の立場にいる人物なんですからね。いつの時代と言うか、世界すら変わった所で人は人・・・と言った所なんでしょうね」
モースがいた場を見ながら孔明はタメ息を吐かんばかりに呆れ返りながら漏らす。また意味深な言葉を口にして・・・
・・・それから数日後、孔明は大詠師の部屋を訪れた。
「何っ!?導師はマルクトに連れられただと!?それもキムラスカとの和平の仲介役を頼むためにと・・・!」
「はい、アニスからの報告の手紙にはそう書かれていました」
椅子に座っていたモースはたまらず立ち上がり、孔明は手元の手紙を見ながら間違いではないと強調する形を取る。
「むうぅ・・・こうしてはおれん!コーメイ、貴様は今すぐ六神将に連絡を取れ!私の元に来るように言うのだ!そしてその後、私はすぐにバチカルに向かう!後の事は任せたぞ!」
「はい、では私はこれで失礼します」
モースは唸りながらもすぐに孔明に指示を出した上で自分が取る行動についてを言い、特に反論することもなく孔明は頷いた。
・・・そして2時間程もした頃、自室での執務に取り掛かっていた孔明の元にリグレットがやってきた。
「やはり我々にお鉢が回ってきましたか・・・」
「えぇ、と言っても彼の性格を考えればこの結果は容易に想像は出来ましたけどね」
それでリグレットは呆れ気味に、孔明は当然と言ったように会話をする。モースの行動についてを。
「しかし、よかったのですか?モースに導師の行方を簡単に明かすような事をしてしまって・・・」
「何も言わない方がむしろ彼は私でもこうすると予測のつけにくい行動を取りかねません。マルクトの事を言えば彼がキムラスカに行くだろうということは予測がついていました。彼の思う展開の為にもです。ただ何も言わなかったなら彼は暴走のままに自分の中の判断を最上とし、行動していたでしょう・・・私が考えうる中でも特にまずいと思える筋書きの中の一つは、導師がいなくなったならいっそここで真実を公にすればそれで済むとばかりに勝手に導師は死んだと喧伝し出すことです。例え導師が戻ってきたり発言をしても偽物だと断じ、私や貴女方に後始末を任せる形で」
「っ!・・・いっそ真実を、ですか・・・モースならやりかねないところが想像出来ます。自分の都合が悪いならそうすればいいと我々に丸投げをするだろうという姿が・・・」
リグレットはそこで正直に伝える意味はないのではと聞くが、未だ生きているはずの導師はさも死んでる・・・と発表するといった奇妙な予測を述べる孔明に何とも苦い顔で納得する。それは十分に有り得る事と。
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「それはまだ分かりませんが、わざわざ導師をさらってまで何かを成そうとしている事は明白です。そして導師の立場に考え方であったり謹慎してもらっていた状況を踏まえてみると、その辺りの盗賊が身代金目当てに行うようなちっぽけな目的とも団体とも思えません」
「・・・導師をさらった者達の規模は侮れんということか・・・!」
それでモースがすぐに答えを求めてくるが孔明は直接的な答えではなくうやむやに返し、苛立ちだけを浮かべるしか出来ずに孔明を睨み付ける。
「・・・とりあえず、お部屋にお戻りください。アニスも無事とあれば彼女から報告が来るはずです。争った形跡がないとなれば導師もですがアニスも無事でしょう。導師を安心させるためにも彼女の命を奪わずにいるでしょうから。そんな状況なら彼女なら隙を見つけて連絡をしてくると思われます」
「・・・アニス頼みというのは気に食わんが、そうするしかないようだな・・・コーメイ、連絡が来たらすぐに私に伝えろ!私は部屋に戻る、いいな!」
その視線に全く怯むことなく孔明は淡々と待つことを求め、モースはその苛立ちのままに怒声を残して返事を待つことなくズカズカと部屋を後にしていった。
「・・・あのような人物が宗教自治区という形とは言え、国の二番目の地位・・・いえ、実質一番上の立場にいる人物なんですからね。いつの時代と言うか、世界すら変わった所で人は人・・・と言った所なんでしょうね」
モースがいた場を見ながら孔明はタメ息を吐かんばかりに呆れ返りながら漏らす。また意味深な言葉を口にして・・・
・・・それから数日後、孔明は大詠師の部屋を訪れた。
「何っ!?導師はマルクトに連れられただと!?それもキムラスカとの和平の仲介役を頼むためにと・・・!」
「はい、アニスからの報告の手紙にはそう書かれていました」
椅子に座っていたモースはたまらず立ち上がり、孔明は手元の手紙を見ながら間違いではないと強調する形を取る。
「むうぅ・・・こうしてはおれん!コーメイ、貴様は今すぐ六神将に連絡を取れ!私の元に来るように言うのだ!そしてその後、私はすぐにバチカルに向かう!後の事は任せたぞ!」
「はい、では私はこれで失礼します」
モースは唸りながらもすぐに孔明に指示を出した上で自分が取る行動についてを言い、特に反論することもなく孔明は頷いた。
・・・そして2時間程もした頃、自室での執務に取り掛かっていた孔明の元にリグレットがやってきた。
「やはり我々にお鉢が回ってきましたか・・・」
「えぇ、と言っても彼の性格を考えればこの結果は容易に想像は出来ましたけどね」
それでリグレットは呆れ気味に、孔明は当然と言ったように会話をする。モースの行動についてを。
「しかし、よかったのですか?モースに導師の行方を簡単に明かすような事をしてしまって・・・」
「何も言わない方がむしろ彼は私でもこうすると予測のつけにくい行動を取りかねません。マルクトの事を言えば彼がキムラスカに行くだろうということは予測がついていました。彼の思う展開の為にもです。ただ何も言わなかったなら彼は暴走のままに自分の中の判断を最上とし、行動していたでしょう・・・私が考えうる中でも特にまずいと思える筋書きの中の一つは、導師がいなくなったならいっそここで真実を公にすればそれで済むとばかりに勝手に導師は死んだと喧伝し出すことです。例え導師が戻ってきたり発言をしても偽物だと断じ、私や貴女方に後始末を任せる形で」
「っ!・・・いっそ真実を、ですか・・・モースならやりかねないところが想像出来ます。自分の都合が悪いならそうすればいいと我々に丸投げをするだろうという姿が・・・」
リグレットはそこで正直に伝える意味はないのではと聞くが、未だ生きているはずの導師はさも死んでる・・・と発表するといった奇妙な予測を述べる孔明に何とも苦い顔で納得する。それは十分に有り得る事と。
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