女忍、邁進する

「大佐殿の事でそう言ってもらえるならこっちとしてはいい情報だよ。ただ改めて聞くけど、ホントにいいの?今も忠節を尽くすとは言ってくれたけど、このまま私達にずっと付いてくるってなったらマルクトに戻ることはすごく難しくなるよ?これからの事を考えるとダアトに神託の盾の立場って何とも言い難い物になるだろうしさ」
「それこそ前にも言いましたが、気にしないでください・・・もう私はマルクトに戻るつもりはありません。元々私がやってきたことは禁忌の技術の復活及び研究なのですから、もうそうしないから日の当たる場に戻りたいなどと言えるような立場にはありません。ピオニー陛下ならそうしても問題はないと言った上で立場も用意をしてくれるでしょうが、それに甘える事は私にとって望ましい事ではありませんから」
「決意は固いんだね・・・ならもう聞かないけど、そう言ったからにはこれからもいっぱい働いてもらうよ?」
「えぇ、望む所です」
そこから軽く礼を言いつつもマルクトに戻る旨についてを問い掛けるくのいちだが、ディストが迷いを見せずに返す様子に追求を止めて軽く冗談めかせた笑みを浮かべあう。これからも仲間であるということを互いに認識する形で。
「・・・話がまとまったようなので僕からもお聞きしますが、これからマルクトに向かうに当たって丞相の予想通りの展開になると貴女は見ていますか?」
「うん大丈夫大丈夫。今の状況じゃどうやったってマルクトが私達の協力なんて拒めないだろうし、一刻を争う事態だってのは向こうも分かるだろうから余程の事がないなら順調にいくって。それでケセドニアに辿り着く頃には間違いなく旦那様と合流出来るだろうしね~。そこから先はイオンにも色々とやってもらうからお願いね」
「はい。僕もやれることはやらせていただきます、僕からしても預言通りになるような事態は望んでいませんし・・・僕の存在を都合のいいものと認識するモースに付き従うのは僕の望む所ではありませんしね」
「うん、その意気その意気♪」
そこに話は終わったと質問を向けるイオンにくのいちは予定通りでやることがあると返すと、普段は見せたことのない挑戦的にぎらついた表情を浮かべる姿に止めることなく一層笑顔を見せる。
「ではまずはアクゼリュスの人々を送り届ける事を無事に済ませましょう。それが我々の活動の第一歩であると共にマルクトに信頼してもらうための布石でもあるのですから」
「分かってるよ~、リグレット。それに一個人として考えてもアクゼリュスの人達を無事に逃がしときたいしね。自然な流れで死ぬならともかく、預言の通りにするために殺されるような人達を見捨てたくはないしさ」
「・・・丞相もそうですが、やはり貴女も優しいのですね。奥方」
「人として当然の事でしょ。まぁ昔からダアトにはそんな考えすら持てない人達はいるんだけど、とりあえず気にせず行こっか。まだそういった事をするのは早い段階だしね」
「はい、分かっています」
それでリグレットが改めてここからの流れを口にしたことにくのいちも分かっているといったように答えつつ、ここから先の事についてを口にする。ダアトの改革を行うこと、そしてそれがモースを始めとした預言保守派の人間の粛清に繋がるだろう事を・・・















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