女忍、邁進する

「まぁよく聞くような話としてはルークとアッシュが仲違いを起こすことがないばかりか、和解をしてキムラスカに共に戻る・・・ってのが分かりやすくて大衆に受け入れられやすいハッピーエンド、だっけ?そんな感じになるんだろうけれどね~」
「そうなる可能性はあの様子を見る限りではほとんど有り得ないでしょうね。もし起きたとしたなら奇跡に近いと言っても過言ではないかもしれませんが、丞相であればそのような状況をお膳立て出来ると貴女は思いますか?」
「多分それは無理。旦那様なら二人を一緒にいさせるための状況に策までなら画策出来るかもしれないけど、そこから先の個人の感情にまでは介入出来ないし何よりキムラスカとダアトで距離が離れすぎてていざ何かあった時にすぐに行動が出来ないしね~。だから無理に二人を繋ぎ止める方が危ないって私は思ってるし、旦那様もそう判断すると思うよ」
「・・・となれば、一番妥当というか安全策になるのはアッシュをキムラスカに戻した上でルークには出ていってもらうという事ですか・・・」
「私達だけで今の状態から最善を選べって考えた上での策、ってだけの話だけれどね」
その上でルークとアッシュの二人の状態から選べる最善の策についてを話すくのいちに、ジェイドは眼鏡に手を当てる。どこか表情を隠し、見せたくないと言った様子で。
「とりあえず今話したことはルーク達は勿論だけど、特にアッシュには言わないようにしてね~。下手にそう言ったことを言うと、テメェらの思い通りになんかならねぇくらいは言って即刻私達の元から離れかねないしね」
「・・・それは構いませんが、ついでにもう一つ聞かせてください・・・貴殿方はアッシュが謡将に連れてこられたと知った時、最終的にどうしようと考えていたのですか?ルークの事も含めて全て終わったと仮定した上でです」
「ん~、その時はアッシュが謡将の元にずっといるって考えてたって前提で言うけど・・・ルークはまだどうするかはともかくとして、アッシュは謡将共々死んでもらうつもりだったよ。今のアッシュを見てもらったら分かると思うけど、ある程度向こうに都合のいい条件くらいしか呑まないだろうってのは分かるでしょ?」
「えぇ。そして呑みたくない条件・・・言ってしまうならルークと仲良く恨み辛みを全て忘れ、仲良くしろと言った類いの条件は聞く筈がないという事も」
そんな姿を見て制止の声をかけるくのいちにジェイドは手をどけもう一回問いを向けると、返ってきた返答に追加の補足をする・・・アッシュは自分にとって都合のいい事以外、聞くつもりはないだろうと理解しているといった形で。
「うん、旦那様もそんな風に考えてた・・・謡将の元にいるってアッシュが決めたなら、こっちがやろうとしてることにアッシュが応じるなんてとても思わなかった。さっきも言ったけどアッシュが信頼を向けてるのはリグレット達じゃなく、謡将以外にいない・・・そんなアッシュが謡将の命を奪うって選択した私達に余程じゃなかったら従う意志なんて演技でも見せることなんてないってね」
「だから謡将に従うならアッシュを殺そうとしていたということですか」
「うん。だけど知っての通り、今アッシュは謡将に反旗を翻してる・・・それが却って私にとって厄介な状況を招いてるんだよね~。旦那様程私は頭が働く訳じゃないし」
「・・・むしろ貴女程動けば十分過ぎるラインだと思うんですけどね・・・」
それでいかにくのいちにとってアッシュが裏切る事が規定路線外だったかを嘆く声を上げると、ジェイドはどうとも言い難そうに漏らす。くのいちが求める基準があまりにも高いために。











18/21ページ
スキ