女忍、邁進する

「・・・とりあえず真実は話しました。謡将が二人の『ルーク』という存在に対して取った行動に関しての真実は。残酷だと思いますが、これが真実です」
「・・・信じたく、ない・・・けど、それが・・・真実・・・なんだよな・・・うっ・・・!」
「・・・ごめんアニス、ちょっとルークを別の部屋に案内して落ち着かせてもらっていいかな?一応話すことは話したし、今はしばらく落ち着いてもらった方がいいだろうしね」
「はい、分かりました・・・大丈夫ですか?」
「ぐっ・・・!」
くのいちは改めて話は嘘ではないと強調して告げ、ルークが事実を受け止め崩れ落ちる姿を見てアニスに退室の付き添いをするよう頼み、アニスは頷いてからルークに肩を貸し二人で部屋を後にしていく。
「・・・随分とルークに気を遣うのですね、貴女方は」
「その言い方だとアッシュみたいにルークなんか死ねばいいとでも思ってるの、大佐殿は?」
「・・・いえ、そういう訳ではありません」
「あっ、もしかしてフォミクリー技術の原案者としてレプリカが存在してる事が複雑だから?」
「っ、何故・・・いえ、そちらにディストがいる以上その情報があっても別に知られていてもおかしくはありませんか・・・」
それで二人が出ていったのを見計らいトゲのある言葉をジェイドが向けてくるが、くのいちが反撃とばかりに漏らした言葉に逆に苦い顔を浮かべる。何故その事を今言うのかといった様子で。
「おい、旦那・・・どういうことだ・・・?」
「言葉の通りだよ~。大佐殿はレプリカを造るフォミクリー技術の原案者なんだけど、その事実に関しては一般的にフォミクリー技術が広まってないことからほとんどその事実を知る人はいないんだよ。ただ今の反応を見る限りだと、その事実は言われたくなかったって感じっぽいね~・・・自分にとって都合が悪いみたいな、ね」
「・・・そうなのか、旦那?」
「・・・言われたくなかったのは事実です。あまり気分の良くない事ですからね、私にとって・・・」
ガイが怪訝そうな顔をして追求をするとくのいちがすかさず逃さないとばかりにジェイドの過去及び態度の推察についてを述べ、再度確認を取るガイに眼鏡に手を当てる形で顔を隠しながら肯定を返す。
「・・・ですが、何故今その事を持ち出したのですか?正直、その事は今は関係無いと思うのですが・・・」
「ん~、だって明らかに大佐殿はアッシュ程じゃないにしてもルークに対していい方の態度取ってなかったでしょ?だからこっちとしては私に感情的な面があることは否定はしないけど、ルークに関して害意のある行動は取らないで欲しいんだよね~。今後の事を考えてね」
「・・・それは、私の態度を見て感じた事ですか?もしかしたら私がルークを害するのではないかと」
「うん。大佐殿なら有り得なくないかもって思ったんだよね~。ディストの話を聞いて」
「フォミクリー技術を用いるなと散々口酸っぱくジェイドに言われた私が言うのもなんですが、だからこそジェイドなら有り得ると思ったんですよ。場合によってはルークを自分の手で始末する可能性もある、とね」
「・・・」
ただジェイドが解せないといった様子を浮かべ問いを向けると、くのいちとディストがルークを殺す可能性についてを示唆したことに沈黙する。
「ま、何も言わないって事は少なからずはその可能性について考えてたんでしょ?でもアッシュも含めてそうはさせないよ」
その沈黙を肯定と見なしたくのいちは冷めた目を鋭く細め、ちゃらけた空気なしに純粋な殺気をぶつけつつ宣言する。ルークを殺させはしないと。









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