女忍、邁進する

「もしかして考えてなかった?自分がどうなるかっていうか、どういう立場になるかっていうの。あっ、それとももしかして神託の盾としてずっと所属するつもりでいたから考えてなかったとか?」
「だっ!誰が、神託の盾になんざいるか!」
「ん?と言うことは少なくとも神託の盾にダアトから出るって意味だよね。旦那様に導師の庇護を受けることなんてなく・・・だとしたら~、こっちがどうするかなんてのはアッシュには関係無くなる話だよね~。だって自分から離れる人の事なんて気にする必要がない上に、アッシュの立場を考えると下手にほっとく方が危ないだろうし♪」
「くっ・・・!」
そんなアッシュに対しておどけたようにくのいちは話を進めていくが、中身は的確にアッシュの痛い所を突いた物だけに忌々しげに歯を噛む。
「・・・なぁ、何となく嫌な予感がするんだけど・・・もしかして俺とこいつが一緒みたいに言うってことは、姿形が瓜二つな事にも関係してる・・・んだよな?」
「まぁそれは確かですが・・・もうここまで来たから答えを言うけど、いいかな?」
「・・・あぁ、頼む」
「んじゃ言いますね~、他も聞きたいことだろうし・・・まぁ簡単に言いますと」



「7年前に起こったルーク様の誘拐事件・・・これは犯人が謡将で、本物の『ルーク=フォン=ファブレ』であるアッシュを拐ってルークを造ってファブレに返し、アッシュを謡将が手元に置くための策略だったんだよ」



「「!!!?」」
・・・薄々嫌な予感を感じていたルークの予想をハッキリ確信付けた上で、最大級の衝撃をくのいちは言葉に紡いだ。ルークはアッシュの偽者で、アッシュが本物の『ルーク=フォン=ファブレ』なのだと。
その言葉にルークだけではなく、ガイまでもが目を剥いて驚愕を露にした。
「・・・薄々とそういった予感は感じていましたが、やはりそうでしたか・・・」
「お、おい旦那!どういうことだ!」
「簡単な事です。私には心当たりがあるからです、元のモノがあればそれと全く同じ姿形のモノを造り出せる技術があることを。そしてそれを用いたのは・・・ディストです」
「えぇ、その通りです。そして先程も申し上げましたが、その時の私はまだ謡将に協力している身でしたのでその技術・・・フォミクリー技術でルークを造り、謡将の望むままにファブレへ帰すことになったんです。アッシュの身柄をキムラスカにダアトからも欺く形で手元に置く形でね」
「っ!・・・じゃ、じゃあ・・・本当の『ルーク=フォン=ファブレ』はアッシュで間違いはないのか・・・!?」
「そういうことだよ」
「「・・・っ!」」
ただジェイドが深刻な声を上げたことにガイが動揺覚めやらぬままに理由を聞き、ディストも交えた返答を聞いた上でだめ押しのくのいちの肯定にルークも共に唖然とした様子に変わる。それが事実と知り。
「ただそこでなんだけど、こっちからもまた聞かせてほしい事があるんだ・・・アッシュに」
「っ、今更俺に何を聞く必要がある・・・テメェらがどこまで調べてるかなんざ知らねぇが、そこまで知っているというなら俺に聞くことなどない筈だろう・・・!」
「起こした事実に関してはリグレット達や私の目についた事は調べはつくけど、そういったことじゃなくて・・・アッシュは何時から謡将を見限って裏切ろうとしてたの?」
「・・・何・・・?」
しかし尚も話を続けるとするくのいちにアッシュは悪態をつこうとしたが、その疑問に思わず眉を寄せる。今までの流れから必要な問いとは思えないといった様子で。












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